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ダーウィニズムを超えて 104

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(五)人間原理、万物理論、新しい統一原理

1)マルチバースか、万物理論か、神の創造か
 キャサリン・フリースはマルチバースと、万物理論が目指す一つの宇宙観について述べている。

 この問題をめぐっては、宇宙論学者のあいだで大きな意見の不一致がある。有名な科学者の中にもマルチバースの存在を信じている人がいる。彼らは、私たちの宇宙に近い性質を持つ宇宙がいくつくらいあるかをはじき出そうとしている。一方、それ以外の科学者は、私たちの住むこの一つの宇宙だけを考えて、できる限りのことを解明しようとしている(*57)。(太字は引用者)

 ひも理論の世界的な権威者の一人であるミチオ・カクは、ひも理論から導かれるマルチバースと神による創造について述べている。

 [これまでひも理論で見つかった]どの解も、まったく自己矛盾のない宇宙を表している。かつて、そうした多くの解のうち、ひとつだけがひも理論の真の解だと考えられていた。だが今日、その考えは変わろうとしている。現在のところ、これまでに見つかった無数の宇宙からひとつを正解として選び出せる手だてはない。……どの解も等価で、宇宙はマルチバースとして存在し、どの宇宙もあらゆる物理法則と矛盾していないわけだ。ここから人間原理なるものと、「設計された宇宙」(神が生命——そしてわれわれ——の存在を可能にするように自然法則を作った)の可能性が導き出される(*58)。(太字は引用者)


*57 キャサリン・フリース、水谷淳訳『宇宙を創るダークマター』日本評論社、2015年、268頁。
*58 ミチオ・カク、斉藤隆央訳『パラレルワールド』NHK出版、2006年、288

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 次回は、「ブランドン・カーターの強い人間原理」をお届けします。


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