コラム・週刊Blessed Life 42
歴史的転換期を乗り越える

新海 一朗(コラムニスト)

 今日、世界のリーダーたちは、全ての面において、パラダイムシフト(価値観の劇的転換)を求められています。世界が急激に変化を遂げつつあるからです。古い価値観では追い付けないほどそのスピードは速いのです。

 変化の全てが好ましいものとは言えませんが、変わるべくして変わる変化(人間の良心が納得する変化=善の変化)と権益独占層による抵抗戦術から来る変化(人間のエゴが仕掛けるたくらみ=悪の変化)の両者が入り交じって、善の変化と悪の変化が世界中で繰り広げられています。二つの変化が戦いながら、世の中を混沌(こんとん)としたものにしています。

 人々はこの状態を見て、世界は混乱していると言います。あるいはもっと悲観的に、人類はカタストロフィー(破局)に向かっているとまで言う人もいます。世界は今、確かに大混乱の真っただ中にあります。

 全ての国が行き詰まり、国家指導者たちは深刻な苦悩の中にあると言っていいでしょう。世界の各地で、人々は豊かな人間らしい生活を求めて必死に生きているわけですが、75億人の人々を乗せた宇宙船「地球号」は、さまざまな矛盾と葛藤、対立と闘争に覆われたまま、先行きの見通せない航路を漂流しています。こういう解決困難とも言うべき極限状況の中で、「人間の力ではどうにもできない」「人間の力で全てが解決できると思ってはならない」などの言葉が発せられる時代圏に突入しているのです。

 では、どうすればよいのでしょうか。
 「互いに利用してやろうとすれば滅びます。互いに為に生きようとすれば栄えます」と語ったのは、レバレンド・ムーン(統一運動創始者、文鮮明師)ですが、この中にこそ、現在の世界の混乱を収拾する大いなる英知が示されています。

 「互いに為に生きる」という精神が、今、世界に欠けているが故に、世界中に大混乱が起きているのです。自分の利益のために生きる以上に、相手のために生きるという動機が勝るならば、全ての人間関係、全ての国家関係は良くなるでしょう。

 利他愛の飽くなき実践こそ世界平和への大道です。亀裂の深まった米国内の対立、EU(欧州連合)加盟国の困難な状況など、「互いに為に生きる」道を見いだすならば、「共栄」の果実を味わうことができるでしょう。