コラム・週刊Blessed Life 41
グローバリズムと反グローバリズム

新海 一朗(コラムニスト)

 ソ連崩壊後の1990年代からグローバリズム(地球主義)が大きく叫ばれるようになり、いよいよ世界は一つの方向に向かっていくのだと考えた人も多いと思います。ソ連、東欧などの旧共産圏の解放により、欧米諸国はビジネスチャンスを拡大できると見て、市場拡大、規制撤廃など、主として、経済的な意味でのグローバリズムを指向したのでした。

 ちょうど90年代は、米国のIT(情報技術)革命、PC(パーソナルコンピューター)の世界的普及と重なって、経済グローバリズムは投資や株価などのマネーゲームで莫大な収益をつくりました。金融経済の力は実体経済を振り回しながら、集まる所には膨大な金が集まり、その一方で貧困層を拡大するという格差社会を進行させました。ここに、経済グローバリズムは格差を生み、決して世界の人々を幸せにしないということを見た人々は、反グローバリズムを唱えるようになります。

 グローバリズムのお手本のように見られたEU(欧州連合)ですが、ここから、まさかの事態が発生します。ブレグジット(BREXIT)、すなわち、英国のEU離脱です。英国は反グローバリズムの旗手となり、続いて、米国がトランプを大統領に選んだ時点で、グローバリズムのトップランナーであった米国が反グローバリズムにくら替えったのです。180度の転換です。

 米国の大企業は中国に進出し、低コストの中国で巨大な収益を享受しながら、米国内の人々を見捨て、多くの失業者を出し、多くの企業を倒産に追い込みました。しかし、気が付けば、アメリカの知財と技術とノウハウは全て中国に奪われ、やがて中国に世界覇権まで奪われてしまうと分かった時点で反グローバリズムを叫んだのがトランプでした。

 この米国の例からも分かるとおり、経済的動機だけで動くと、米国自体に損害が跳ね返ってくるのを見た瞬間、目が覚めて180度方向転換するのです。

 結論として、グローバリズム、反グローバリズム、どちらもそれぞれ言い分はあるでしょうが、両者とも経済的側面からの利害損得の計算によって陥った主義主張の叫びです。

 ONE FAMILY UNDER GOD(神のもとの人類一家族)のような、愛の共同体理想が、今、最も必要のされている平和思想と言えるでしょう。すなわち、真のグローバリズムは愛のグローバリズム=人類一家族主義であるということです。