夫婦愛を育む 39
正論が通らない

ナビゲーター:橘 幸世

 世の中、理不尽なことが多いですね。正しく生きようとする人ほど、葛藤するのではないでしょうか。
 不正の内部告発のニュースが珍しくなくなった昨今ですが、中には告発者がその後長年にわたり職場で不当に冷遇されてきたケースもあります。「正直者がばかを見る」のは悲しい現実です。

 とても正義感の強い、完璧主義の友人がいます。有能なので用いられる半面、煙たがられることも少なくないようです。二の位置、中間管理職にいて、責任感が強い分、よくトップとぶつかっていました。彼がどんなに正しくとも、権限を有するのは最高責任者ですので、彼の進言が通らなければ、上との関係が悪くなり、彼の立場が難しくなります。

 私たちは皆、先祖からの愛の宿題を抱えて生きています。そういった人間が集まっているのですから、さまざまな心理が絡み合って、正論や善意が通らないことは残念ながら例外なくどの世界でも起こり得ます。

 トップの器が小さければ、遠ざけられたり、理不尽な攻撃を受けたりすることも珍しくありません。私たちは相手に、その位置にふさわしい器を期待します。位置に見合う器になろうと努力しているリーダーなら喜んで支えようとしますが、そう思えない場合はどうしたらいいのでしょうか?

 講座で、妻がどんなに正論を言っても、一般的に夫は男のプライド故にそれを受け止められない、とお話ししています。妻が正論を主張すればするほど、夫婦関係が悪くなる、とも。 
 女性は、「妻には言われたくない」「妻からは聞きたくない」という男性心理を理解して、良い授受作用の土台作りと上手な伝え方を学ぶことが望ましいです。

 夫婦間に限らず、その他の関係でも同様ではないでしょうか? 統一原理には「長子権復帰」という言葉があります。平たく言えば、相手から信頼され、尊敬されるようになることを意味します。そうならずしては、どんなに正論を言っても聞いてもらえないことが多いのです。

 「長子権復帰」するまでは、理不尽なことにも耐えながら、自分のやるべきことを黙々とするしかないかもしれません(ただし、精神的キャパを越えている場合などは無理をしないようにしましょう)。摂理歴史上の勝利者たちは、希望を失うことなく長い不遇の時期を越えてきました。

 神様は生きて働いておられます。承服しがたい事象に直面しつつも、地道にコツコツ、誠実に自分の務めを果たす人は、生きて働かれる神様を体験することでしょう。

 「正直の頭(こうべ)に神宿る」とも言いますね。