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青少年事情と教育を考える 256
小中高生の自殺が過去2番目に

ナビゲーター:中田 孝誠

 昨年、小中高生の自殺者数が過去2番目に多い507人(暫定値)となったことが、警察庁と厚生労働省の集計で明らかになりました。

 前年の514人に続く人数です。国際的に見ても日本は若者の自殺が多いことが問題となっていますが、深刻な事態が続いていることが示されました。

 成人を含めた全体の自殺者数は2万1818人で、前年より60人余り増加しました。このうち20歳未満は809人(前年比11人増)です。

 小中高生の内訳は、小学生13人(同4人減)、中学生152人(同9人増)、高校生342人(同12人減)でした。高い水準が続いています。

 自殺の原因・動機については年齢別の統計は出ていませんが、例えば20歳未満では「学校問題」が挙げられているのは329人です。

 このうち多いのは「学業不振」85人、「進路に関する悩み(入試以外)」73人、「学友との不和」62人でした。
 また、「健康問題」が259人、「家庭問題」が154人でした。

 たびたび指摘されることですが、G7の中で10〜19歳の死因の1位が「自殺」となっているのは日本だけです。15〜19歳、20〜24歳の死因の5割以上が自殺でした。

 こうした事態に対して政府は昨年6月、こども家庭庁をはじめ文部科学省、厚生労働省など関係省庁による「こどもの自殺対策緊急強化プラン」をまとめました。

 この中では、①11台端末の活用等により、自殺リスクのある子供を早期に把握して適切な支援につなげるため、システムの活用法を周知して全国の学校で実施を目指す ②全児童生徒が「SOSの出し方に関する教育」を年1回受けられるようにするとともに、教員や保護者は子供のSOSの受け止め方を学ぶ機会を持つ ③多職種の専門家で構成される「若者の自殺危機対応チーム」を都道府県等、全国の設置を目指す。また、子供と子育て世帯を包括的に支援する「こども家庭センター」の設置を支援する ④関係機関が持つ自殺に関する統計と関連資料を集約し、多角的な分析を行う、としています。