愛の知恵袋 29
夫婦愛のリセット

(APTF『真の家庭』139号[5月]より)

松本雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

もう別れたほうがいい?
 「もう、あんな夫のご飯も作りたくないし、洗濯もしたくありませんよ。こうなったら別れるしかないですよね?」と妻の美知子さん(仮名)は興奮気味に話します。私はお茶を勧めながら、「ところで、ご主人のほうはどうなんですか?」と聞いてみました。「夫は私の顔を見るのも嫌だと言ってますよ。私の口の利き方が気にいらないと言って、口もろくにきいてくれないんですから」とのことでした。

 夫の卓也さん(仮名)は38歳で商社の営業マン。妻の美知子さんは37歳の主婦でパートの仕事をしています。結婚して10年。7歳と4歳の子供がいます。夫は奥さんのきつい物言いと口やかましさが嫌で喧嘩になり、奥さんは夫の趣味の競輪と、接待とはいうものの時々チラホラする女性の影が気にいらず、つい詮索しては喧嘩になるそうです。

 「別れようと思ったんですけど、二人の子供のことを考えると悩んじゃいます。ここはグッと我慢してやり直した方がいいのか、正直、迷っています。実は5年前にも大喧嘩して別れるかどうかですったもんだがあったんですよ…。先生、もうここまで来たらダメでしょう?別れちゃった方がいいんでしょうか?」と言われるので、私ははっきりと、「いいえ、まだまだ諦めるべきではありませんよ。ここでもう一度棚卸(たなおろし)をして、やり直してみましょう」と話しました。

離婚を急ぐカップルたち
 最近は、結婚して間もない内に離婚に踏み切る人が後を絶ちません。2008年の年間の婚姻件数は72万6113件。離婚件数は25万1147件。単純計算で考えれば34.6%、3組に1組が離婚していることになります。

 その離婚カップルのうち、同居期間10年未満の夫婦は13万9211組で、実に離婚件数の55.4%を占めています。さらにしぼって同居期間5年未満では、8万4206組が離婚しており、これは全離婚件数の33.5%にあたります。つまり、離婚したカップルのうち、3組に1組が結婚して5年以内に離婚しているのです。

 うまくいかないんだったら、さっさと別れて別の人を探したらよい…という考え方もあります。また、今は”添い遂げる”とか”我慢する”というような時代ではないんだ…という声もあります。しかし、それにしても、あまりにも離婚を急ぎすぎるという感は否めません。