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ダーウィニズムを超えて 42

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

四章 創造神話と新創造論

三)男女神の交合による天地創造

 神は男性と女性の両性をそなえておられる。したがって、神の形に似せて男と女が創造された。そして男女神の結合によって万象が生まれたというような神話が世界中で見られる。

1)ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のアダムとエバ
 「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」(創世記127)とあるように、神は一人の男性と一人の女性を合わせた方であるという結論になる。その男女神としての神が天地を創造されたのである。これはユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通した見解である。神が最初に造られた人間がすなわちアダムとエバであった。

2)ヒンドゥー教の男女神
 『リグ・ヴェーダ』によれば、天の男性神ディアウス(Dyaus)と大地の女性神プリティヴィー(Prithivi)が合体した天地両神ディヤーヴァー・プリティヴィーが万物の父母であり、その維持者であるという。ディアウスとプリティヴィーから生まれたのが『ヴェーダ』の神々の王インドラ(Indra, 帝釈天)である。ヒンドゥー・タントリズムによれば、男性神シヴァ(Shiva)とパールヴァティー妃(Parvati)との性的合一による宇宙創成が説かれている。パールヴァティーは女性原理であるシャクティ(Shakti、性力)を象徴する女神である。

3)中国の神話——伏羲と女媧——
 龍の女神である女媧(じょか/Nü Wa)は人類を創造した神とも考えられていたが、のちに女媧は伏羲(ふっき/Fu Xi)と尾を絡ませた一対の神とされた。女媧と伏羲は始祖の神であるとともに、天地を創造した神であった(図4-10)。大洪水を生き延びた伏羲と女媧の兄妹(あるいは弟姉)が夫婦となって人類の始祖となるという伝承もある。

 易学によれば、宇宙の根源である太極から陰陽の二気が生じ、二気から四象が生じ、四象から八卦が生じるというようにして、宇宙は創成された。これも宇宙の根源が男性と女性の二性を兼ね備えた存在であり、その二性(二気)によって宇宙は生まれたということを示している(図411)。

4)日本の神話——イザナギとイザナミ——
 天と地が始まったとき、高天原(たかまのはら)に天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)を中心とする五神の別天神(ことあまつかみ)と二神の根源神が生まれた。これらの神々は姿を現さず、男女の性別がなかった。次に生まれた十神は男女ペアの、姿を現す神であり、最後に生まれたのがイザナギの神、イザナミの神であった。イザナギとイザナミが天(あめ)の浮橋(うきはし)に立って、天の沼矛(ぬぼこ)をかき回すとオノゴロ島となった。オノゴロ島に降りた二神が男女として交わると大八島の国(日本)が生まれた。

5)男女神による天地創造と新創造論
 神は陽性と陰性の二性性相の中和的主体である。したがって神は男性神と女性神が一つになった存在であると見ることができる。神はロゴス(言〈ことば〉)によって被造世界を創造された。ロゴスは神の被造世界に対する構想、設計図であり、天地創造のシナリオであるが、ロゴスは神の陽陰の二性性相に似ていた。したがって男と女、雄と雌、おしべとめしべ、陽イオンと陰イオンのペア・システムの世界が創造されたのである。これは男性と女性の一体となっている神が、その二性の授受作用によって被造世界を造られたと見ることができよう。

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 次回は、「回転による創造」をお届けします。


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