夫婦愛を育む 30
「それは…が不足しているから、と分かっていました」

ナビゲーター:橘 幸世

 朝ドラの話で恐縮ですが、今回はどちらかと言えば、男性の皆さまへのお願いです。

 現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」を楽しく見ています。
 8月20日放送のワンシーンが印象に残ったので、紹介させてください(せりふは記憶に頼って書いているので、一部不正確かもしれません)。

 主人公の幼なじみ・律の妻が小学生の息子の勉強を見ながら、「この間まで塾で一番だったのに、~君に負けた」と言って厳しく指導しています。そこに入ってきた律に対しても、彼の働き方に対する不満や夫の実家の居心地の悪さを口にして、イライラしながら出て行きます。息子は、「お母さん、時々ああなるんだ。でも、優しい時もあるよ。僕が百点取った時とか」と父・律に言って、母・より子をかばいます。

 ここまでは、「ああぁ、困った教育ママ」とか「自分の価値観ばかりで、夫の気持ちに全然寄り添ってない」などと、思って見ていました(律側に立っての思いですね)。
 けれど、その後のナレーションは予期せぬものでした。
 「より子が時々こうなる理由が、律には分かっていました。愛が不足しているからです。分かっていても、どう愛を流したらいいか、律には分かりませんでした」。
 より子を演じている役者さんのコメントです。「より子が意地悪を言うのは、けんかしてでもコミュニケーションを取りたいから。不器用なんでしょうね」。

 講座で、夫婦関係を太陽と月と地球に例えてお話ししていますが、やはり月である女性は、太陽(男性)から光(愛)をしっかりもらわないと、地球(子)にうまく光を注げないことが多くなるのかもしれません。

 「女が口うるさいのは、“認めて”のサイン」と、ピーズ夫妻は著書『嘘つき男と泣き虫女』で述べています。
 「口やかましさに歯止めがきかなくなる女は、孤独で、失望感にうちひしがれ、欲求不満に陥っている。自分が愛されている、感謝されているという実感が持てない」。

 律のように、妻の不満を感じつつもどうしたらいいか分からない夫たちが、少なくないのかもしれません。だからこそ、夫が勇気を振り絞って「オ、オ、オ、オレ、お皿洗おうか?」と生まれて初めて妻に言うCMまで登場するのでしょう(結果、夫は妻から「ありがとう」の言葉を3年ぶりに聞きます)。

 夫婦どちらも不器用、でも勇気をもって、ぎこちなくても一言発してみる。きっとそこから、夫婦関係の改善がなされることでしょう。