青少年事情と教育を考える 230
教員不足は先進国共通の問題

ナビゲーター:中田 孝誠

 ここ数年、教員の不足が大きな問題になっていますが、これは日本だけの話ではないようです。

 先月12日から15日、先進7カ国(G7)の教育相会合が富山市と金沢市で開催されました。この中で教員になる人材の確保が各国共通の課題になっていることが明らかになりました。
 参加国からは、優秀な人材の確保や、教員の専門性を高めるための支援が強調されました。また、「若い人が教職に魅力を感じるようになるための施策も大切だ」などの発言がありました。
 会合の宣言文でも、指導力向上に向けた養成や専門的研修に教師がアクセスできるよう取り組むことの重要性も示されました(「教育新聞」5月22日付)。

 日本では教員の働き方改革の一つとして、教員の給与について定めた給特法が議論になっています。
 給特法は残業代を払わない代わりに給与4%分を上乗せするというものですが、これを10%に引き上げるという案が出ています。
 また、長時間勤務の改善、部活動の地域移行などもテーマになっています。そして教員採用試験の志願者の減少(倍率の低下)、質の向上も大きな課題です。

 人材不足を受けて、教員免許を持っていても教職に就いていない人(ペーパーティーチャー)向けのセミナーを開いている自治体もあります。
 また、大学3年生でも採用試験を受験できるようにしたり、受験年齢の制限を撤廃したりする自治体もあるなど、人材確保の取り組みが広がっています。

 もちろん人材が増えれば解決ということではなく、教員としての資質向上をどうするかが重要です。
 文部科学省は教員免許更新制を解消した後の新しい教員研修制度を整備し、教員の資質向上を進めていく方針です。