平和の大道 35
対馬から韓国へ向けて調査斜坑を掘る

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

対馬調査斜坑掘削開始

 対馬の開発・発展にとってその核心的プロジェクトとなるのが日韓トンネル建設であることは言うまでもない。その出発となるのが、調査斜坑の掘削である。

 現在、長崎県の対馬から韓国に向かう調査斜坑を掘る計画を進めている。2013年には対馬調査斜坑計画(第1次)を見直し、最終計画書が提出された。今年(2014年)6月を目処にまず調査斜坑の坑口の工事を始める予定である。

 斜坑は唐津と同様、4分の1勾配、直径約6mで、1300mまで掘り進み、その斜坑底から水平坑(先進導坑)を1700m掘削する。ちょうどその位置が対馬西水道・大断層の現場であるため、そこから1000mの水平ボーリングで断層を突破し、堆積している未固結層のコアを回収・分析して新期堆積層の強度を確かめる計画である。それには約60億円の費用がかかる。

 対馬調査斜坑と水平坑の掘削工事、対馬西水道の大断層(1000m以上の落ち込み)を突破する水平ボーリング工事、未固結の新期堆積層のコア採取とその分析、新しい地質情報に基づくシールド工法・山岳工法計画と工事費等の立案等には、極めて専門的な技術を要する。

 当財団は理事会の下に「日韓トンネル技術委員会」を立ち上げ、そこに優秀な技術者が集まっている。日本鉄道建設公団で青函トンネルを掘り抜いた技術者(技術士、工学博士)をリーダーに、土木、建築、地質、機械、電気、ガス等の専門家が、まさにボランティア精神で参加している。彼らは大手企業の部課長クラスだが、休日を利用して委員会に出席し、日韓トンネルの計画立案、設計、積算等を担当している。全員が、世紀のスーパープロジェクトに参画したいという熱い心を持つ有志達だ。

対馬調査斜坑基地

 調査斜坑基地用の土地は唐津、壱岐、対馬に合計で100万㎡以上を既に確保している。具体的には唐津調査斜坑基地(約20万㎡)、壱岐(約5万㎡)、対馬調査斜坑基地(約90万㎡)で、それぞれ各現場の所長が用地交渉の責任者になって地元の理解と協力を得ながら、2030年かけて調達してきた。

 2年前までは道幅23mの林道しかなかったので対馬の調査斜坑基地現場に行くには、県道から2km、山を越え、絶壁を通らなければならなかった。それで今までの搬入路が問題で、新設するか、拡幅しなければならなかった。しかも、30tのトレーラーを通すためには、2本以上の搬入路が必要になる。そのため、寄付金を募り、20126月に幅8m、長さ2000mの搬入路が1本完成することになった。

 また、電力や飲料用・工事用の水源が課題で、山の斜面一面に太陽光発電のパネルを設置し自家発電する計画もある。水資源が極めて少ないため、雨水を貯水池に溜め、またボーリングで地下水を汲み上げなければならない。電気も飲料水もない、いわば未開の地から日韓トンネルプロジェクトは始まるのである。

国民運動から国家プロジェクトに

 日韓トンネルの建設費は約10兆円と試算されている。日本国民1億人が毎年1万円を10年間投入すると10兆円になるという規模のものだ。だから、最終的には日韓両国の国家プロジェクトにしなければ実現しない。

 10兆円は青函トンネルと同じ新幹線方式(複線、直径12m)での試算で、英仏海峡トンネルのカートレイン方式(単線2本、直径8m)でも10兆円になる。当財団では、道路とリニアカーの二段方式(単線2本、直径12m)を最終目標としており、その場合は20兆円になる。

 トンネルをどんな構造にするかも、地質調査の結果が大きな決め手になるので、早い段階での対馬から1300mの調査斜坑(直径6m)を掘削し、斜坑底から1.7kmの水平の先進導坑(直径5m)を掘るのが当面の最大の課題である。このようにして九州本土の唐津斜坑と国境の島・対馬斜坑を掘削し、その斜坑底に日韓トンネルの本坑(メイン・トンネル)を掘るための先進導坑(パイロット・トンネル)の基地が建設されれば、国は重い腰を上げ、日韓共同の国家プロジェクトに発展せざるを得ないと思う。

 その資金調達のため、理事会のもとに「経済政策委員会」を立ち上げ、国民一人一人に寄付を呼びかけたい。そのためには、全国各地で国際ハイウェイ・日韓トンネルの講演会、集会、大会を開催し、国民の理解と協力を得ることが最も重要だと考えている。

 国際ハイウェイ構想の提唱者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁は、「宗教人が先頭に立とう!」と語っておられる。国益や個人の利益に左右されない宗教人こそ日韓トンネル建設の先頭に立つべきだとして、宗教法人である統一教会(現世界平和統一家庭連合)とその信徒の方々からこれまでに100億円を超える寄付を頂き、当財団で日韓トンネルの調査と建設の事業を継続している。

 日本と韓国の首脳が20091月に合意した「日韓新時代共同研究プロジェクト」(共同委員長・小此木政夫、河英善)は、201010月に「日韓新時代アジェンダ21」をまとめた。その中で、「日韓海底トンネル構想の長期的推進」と題して、次のように発表している。

 「北九州地域と釜山・馬山地域をつなげる日韓海底トンネルの建設は、日韓間の人的流れと物流の拡大に貢献するのみならず、島国である日本とアジア大陸全体をつなげるプロジェクトとなるはずである。(略)それが北朝鮮を通過し、中国東北地域の瀋陽までつながるのであれば、日韓中3カ国の北東アジア鉄道網がつながり、シベリア鉄道を経由しヨーロッパまで到達できる。(略)海底トンネルの建設は、巨額の金融支援と先進的なトンネル技術を必要とする長期的な未来志向プロジェクトである。両国指導者は国民の十分な同意を得る方法で、トンネル建設プロジェクトを推進することが望ましい」

日韓友好の島・対馬

 日本人の多くはかつて韓国(朝鮮)から来た渡来人の末裔だと言われる。対馬海峡(大韓海峡)の壱岐や東松浦半島、とりわけ対馬はそうである。対馬は日本と韓国の接点であり、日本と韓国の「友好の島」になることが将来の発展にもつながる。日韓トンネル建設を核とした対馬の総合的な開発計画を進めることが何よりも重要であり、それが対馬の開発・発展の要となることを確信する。

 日韓トンネルが文字通り日韓、韓日の平和の架け橋、ひいてはアジアと世界の平和の架け橋になると信じて、このプロジェクトに取り組んでいる。

(『友情新聞』2014年5月1日号より)

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 次回は、「英仏海峡トンネルの教訓」をお届けします。


◆『平和の大道 ―国際ハイウェイ・日韓トンネル―』を書籍でご覧になりたいかたはコチラへ(韓国語版もあります)


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