2023.04.10 12:00
アングル~情報戦に勝て。70
俗説にだまされるな!
似非科学の「マインド・コントロール」論を斬る!
今回のアングルでは、3月下旬に発刊された書籍『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』(賢仁舎・刊)を紹介したい。
本については、その本の著者に聞くのが一番良い。世界家庭誌2023年4月号に掲載された、本書の著者・魚谷俊輔氏へのインタビュー記事を丸ごと掲載する。ぜひお読みいただきたい。
(則)
★著者に聞く★
法廷、科学的検証でも否定されている「マインド・コントロール」論
世界平和統一家庭連合を攻撃する学者、弁護士の中には、「家庭連合の信者がマインド・コントロールされており、自分の自由意思で判断、行動できていない」との批判があります。果たして、マインド・コントロール論とは何か。このほど、新刊『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』(賢仁舎)を著した魚谷俊輔UPF-Japan事務総長にインタビューしました。(文責・『世界家庭』編集部)
Q:「マインド・コントロール」をネットで検索すると、「操作者からの影響や強制を気づかれないうちに、他者の精神過程や行動、精神状態を操作して、操作者の都合に合わせた特定の意思決定・行動へと誘導すること・技術・概念である」と出てきます。映画などでもこの言葉が出てきたりしますが、こうしたあいまいな概念がなぜ、広まっているのでしょうか?
A:「マインド・コントロール」は、新宗教を「カルト」などと呼んで攻撃する人々によってつくり出された概念です。信教の自由が保障された民主主義国家においては、特定の宗教を信じること自体は非難できません。そこで、その信仰は本物ではなく、第三者の精神操作によるものであると強弁することで攻撃できると考えたのです。これは、人気のない宗教を攻撃するための便利な武器として広まりました。
Q:紀藤正樹弁護士の「マインド・コントロール」論のどこが間違っているのですか?
A:弁護士として致命的な間違いは、家庭連合を相手取って元信者が起こした「青春を返せ」裁判で、「マインド・コントロール」の違法性を認めた判決が出されており、このことは「司法ではもはや決着事項」と決めつけていることです。
実際には、「マインド・コントロール」の有効性を否定し、訴えを棄却して、元信者らが敗訴している判決が複数存在します。元信者らが勝訴している判決においても、「マインド・コントロール」は、不法行為が成立するかどうかを判断するときの道具には使えないと言っています。事実上、元信者が勝訴した判決でも「マインド・コントロール」は否定されているのです。紀藤氏は、都合の悪い事実は意図的に隠蔽し、判決を自分の都合のよいように曲解しているとしか言いようがありません。
Q:そもそも、なぜ学者でもない紀藤弁護士が、マインド・コントロール論に関心を持ち、著作まで出すようになったと見ていますか?
A:彼は、元信者らが家庭連合を訴えた民事訴訟で、原告側の代理人を長年務めてきた弁護士なので、家庭連合を攻撃できる材料があれば何でも利用しようとするのです。「マインド・コントロール」は、元信者らを被害者に仕立て上げるのに非常に便利な概念だったので、この概念を一般大衆に売り込むために本を書いたのでしょう。
Q:魚谷事務総長は著書の多くの紙面を割いて、イギリスの宗教社会学者アイリーン・バーカー博士が、1984年に出した『ムーニーの成り立ち 洗脳か選択か?』(邦訳本なし)の内容を紹介されています。彼女の科学的・実証的な研究によって、「洗脳」議論は否定されたと見ています。彼女は、どのようなプロセスを通じて、いかなる結論を導き出したのですか?
A:バーカー博士は、1970年代後半のイギリス統一教会を参与観察し、「人はなぜムーニーになるのか?」を解明しようとしました。そして、多くの若者たちが、修練会に参加したけれども、最終的に信者になる人の割合は非常に低いことを発見しました。
「洗脳」が強制的なものであるとするのに対して、統一教会の修練会は、人の考えを強制的に変えるものではなく、むしろ教義を受け入れる人を選抜するプロセスであると、バーカー博士は結論づけました。人が、ムーニーになるかどうかは、統一教会の修練会によって決まるというよりは、それに参加する人がもともと持っていた性質によって決まるということです。
Q:テーマとしては、やや堅苦しい印象を持つ人もおられるかもしれません。著者から、そのような人へのアドバイスを。
A:バーカー博士の研究は、どのようなタイプの人が伝道されやすいのかをデータに基づいて分析しており、その部分に着目して読んでも面白いのではないかと思います。二世の方々にとっては、親世代がどのように信仰を持つようになったのかを知るうえで、参考になると思います。