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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

韓国政府、元徴用工問題解決策を発表

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、227日から36日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領、「日本は協力パートナー」と発言(31日)。中国、ベラルーシとの連携確認(両首脳会談)(1日)。中国、全国人民代表大会が開幕(5日)。韓国政府、元徴用工問題解決策を発表(6日)、などです。

 日韓両国の最大の懸案、元徴用工問題が解決に向けて動き出しました。
 36日、韓国の朴振(パク・シン)外相が元徴用工問題の解決策を正式に発表したのです。

 朴氏は、日本が「普遍的価値を共有する最も近い隣国だ」と述べ、「膠着(こうちゃく)した日韓関係をこれ以上放置せず、国益の次元で悪循環の輪を断ち切る」として「これが最後の機会だと思う」とも語ったのです。日本側の「誠意ある対応」を求めています。

 解決策とは、韓国政府傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援団体」が原告に判決金相当の金額を支払うというものです。
 これまで日本製鉄と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で判決が確定しています。韓国外務省によれば、賠償対象となる元徴用工は15人おり、聯合ニュースによれば15人分の判決金と利子の総額は40億ウォン規模になるといいます。

 さらに、係争中の訴訟に関しても勝訴が確定した場合は財団が判決金の支払いを肩代わりする方針も示しました。
 1965年の請求権・経済協力協定に基づき日本が実施した経済支援の恩恵を受けた韓国企業が、資金拠出の主体となります。肩代わりの財源は民間の自発的な寄付などで賄うとしています。

 元徴用工問題とは、201810月、韓国大法院(最高裁)が、新日鐵住金(現日本製鉄)に対して元徴用工の原告に対する賠償金支払いを命じた判決を下したことに端を発します。

 1965年の日韓基本条約および請求権・経済協力協定によって解決済みの立場を崩せない日本政府の指導の下、被告の企業側は支払いに応じませんでした。
 その結果、韓国内資産が凍結され、現金化に向けて動いていたのです。日韓間の基本的な条約・協定が破綻するという極めて危険な状況が続いていたのです。

 岸田首相は6日、韓国政府の発表を受け、示された解決策に対して、「日本政府として日韓関係を健全な関係に戻すものとして評価する」と述べ、「今後とも尹錫悦大統領と意思疎通を緊密に図りながら、日韓関係を発展させていきたい」と強調しました。

 林外相は同日、「非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すものとして評価する」と述べ、日本企業による自発的な寄付活動に対しては「政府は特段の立場を取らない」と語り、容認する姿勢を示しています。

 なお、韓国政府が求めている日本側の「誠意ある対応」を巡って林氏は、「日韓共同宣言(1998年の小渕恵三首相と金大中大統領によって交わされた)を含めて歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と強調しました。

 日本政府は資金を出さないものの、過去の政権が表明した「反省とお詫び」を継承する方針を示したのです。また、日本政府が韓国向けの輸出管理を厳格にしている対応に対しては「労働者問題とは別の議論だ」と指摘しています。

 他方、経団連と韓国の全経連が資金を出し合い、未来志向の共同事業(留学生支援など)を立ち上げる取り組みも検討されています。

 薄氷を踏むような両国政府および経済界のやりとりが続いています。両国内において一部反対する動きもあります。今後の動向を注視していきましょう。



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