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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

中国、イランとサウジの国交正常化を仲介

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、37日から12日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米国防長官、予告なしでイラクを訪問(7日)。中国外相、台湾統一へ「あらゆる措置」言明(7日)。韓国与党の新代表、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領系の金起炫(キム・ギヒョン)氏に(8日)。習近平氏、中国国家主席3選(10日)。イランとサウジ、中国仲介に関係正常化を合意(10日)。習派一色の新政府発足、全人代(12日)、などです。

 長年敵対してきたイランとサウジアラビアが310日、中国の仲介で外交関係を正常化することに合意しました。
 共同声明では、「主権の尊重と互いの内政への不干渉を強調する」とアピールしました。

 イスラム教スンニ派の盟主サウジアラビアとシーア派大国イランは、中東の覇権を争う因縁のライバルです。
 深刻な対立の始まりは、1979年のイラン(イスラム)革命によりシーア派法学者の統治が始まったことに起因します。隣国サウジは革命波及を警戒し、対立へと発展していったのです。

 両国が断交したのは20161月でした。サウジが王室に批判的なシーア派指導者を処刑したことにイランが反発し、シーア派の暴徒がテヘランのサウジ大使館を襲撃したのが発端となりました。
 さらに両国は、シリアやイエメンの内戦でも敵対する陣営を支え、中東の緊張を高める主要な要因となっていました。

 このたびの正常化合意は、米国がサウジとの関係悪化で生じた間隙(かんげき)を中国に突かれた格好となります。結果として、中東における米国の存在感の低下を強く印象付けることになりました。
 2カ月以内に双方の大使館を再開し、外相会談も開く予定であるといいます。

 今後、中国の影響力がさらに増すのは必至です。ロシアによるウクライナ侵略で影響を受けたエネルギーの安全保障や「一帯一路」推進のために、豊富な石油資源を有するイランやサウジと経済連携を強化することになるでしょう。

 昨年12月、習氏はサウジを訪ね、アラブ諸国との首脳会議を初めて開催しました。
 会談後の宣言では、「人権問題の政治化」などに反対し、「人権外交」を掲げる米バイデン政権へのけん制を強めていました。
 中国の内政不干渉の姿勢は今後、中東各国との協力を深める一因になる可能性もあります。

 しかしサウジは、イランが今回の合意を守る保証はないとして、結局は「両国のにらみ合いが続く」との見方もあります。
 サウジは米中をてんびんにかけ、米国から安保態勢強化への協力を引き出そうとする思惑もありそうです。

 国内のデモ弾圧などで米欧の非難を受けるイランとしては、今回の合意で孤立脱却を目指したいのでしょう。
 核合意の立て直し協議が頓挫しつつあるので、中国との連携を拡大し、経済の回復につなげたい意向もあると見られます。

 このたびの中国主導下で実現した和解が果たして地域に安定をもたらすのか、注意深く見守る必要があります。



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