平和の大道 7
国際ハイウェイの現実的価値

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

 今回から数回に分けて「国際ハイウェイの現実的価値(効果)」について述べよう。物事を為すに値するかどうかの価値判断の基準は、一般的に「必要性」、「効果性」、「実現性」の三つを満たすかどうかで計られる。将来国際ハイウェイが実現したということを想定してみた場合、どのような価値(効果)が現実的に生じるかということを推し量ってみよう。

①世界経済の混乱、経済不況、資源問題の解決
 国際ハイウェイは、人体構造に例えれば、血管組織の「動脈」に当たる。今の世界は、動脈ラインができていなかったり、切断されたりしていて、血液が人体全体に十分に回らない状態である。流通機能が不完全なため、資源が有効活用されず、地域ごとに経済格差・文化格差が生じている。

 戦争原因の多くは富の不均衡から生まれ、経済問題が世界平和にとって一番の脅威だ。その根本解決になる。更に緊急の問題として今の世界は100年に一度と言われるほどの不況下にある。特に日韓両国にとって不況対策として日韓トンネルが十分に国家の主要政策となり得る。

 近い将来、日韓トンネル、ベーリング海峡トンネルが貫通し、大陸と大陸が陸続きとなり、大陸と日本列島や他の島嶼がつながり、国際ハイウェイのネットワークが世界中に張り巡らされた世界を想像してみれば、世界が一人の人間の人体に見えてくる。世界中の人と物と情報が、自由に豊かに無駄なく行き交い、流通し、資源が有効に活用され、万人が国境のない世界で、自由に楽しく交流し、繁栄を謳歌し、生活や趣味を楽しむ姿が見えてくる。そこには戦争の影すら見ることのない、自由と統一と平和と繁栄と幸福に満ちた「ユートピア」の姿が見えてくる。

②戦争をなくす「平和文化」の涵養
 「旧約聖書」の「イザヤ書2章4節」に「こうして彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない」とある。世界の軍事費のすべてをすぐになくすことはできないにしても、核兵器廃絶を始めとし、世界のすべての軍事費を縮小し、その膨大な費用の一部を、貧困撲滅、食料開発等に当て、国際ハイウェイ建設等の「平和のための建設」に振り向けることができれば、世界平和の可能性が見えてくる。

 そのためには宗教団体の役割が重要になる。「国際ハイウェイによる世界平和実現」をスローガンに、建設範囲を宗教団体ごとに振り分け、教団ごとに資金を集め、ハイウェイ建設のために各宗教団体の会員を動員する。彼らの具体的な平和実践活動を世界にアピールし、軍事力行使がいかに無駄で空しいことであるかを世界の諸国家・各国政府に身をもって示す。このような宗教団体の犠牲的奉仕活動を見て、世界の国々が心を動かさないだろうか。宗教団体の活躍により「戦争文化」から「平和文化」への雰囲気を醸成することができる。

 これは衰退しつつある宗教を復活させる契機ともなるという副次的な効果もある。さらに、国際ハイウェイ建設という具体的な共通目標のもとでの共同作業を通じて、各宗教団体も活性化し、宗教間の一致、そして宗教統一への道も開けることにもなる。

 国際ハイウェイを、戦争をなくす「平和文化」の構築、さらには、「宗教統一のシンボル」とすることができる。

③新文明の創造
 平和的な環境下で経済が発展し、その基盤の上に文化・文明の華が咲く。ローマ帝国の発展により、古代地中海文明の華が咲いたが、その文明の基盤に、安全保障と経済発展の基となった「ローマ街道」があったように、高規格道路の国際的なネットワークが形成されれば、国境のない自由通行の上に、経済の飛躍的な発展、文化の向上、その結果として、「新しい文明」が創造されていく。

 今後、環太平洋を核とした全地球規模の新文明創造がなされると予想される。国際ハイウェイは「新文明創造のインフラ」造りのシンボルとなるに違いない。

(『友情新聞』2011年12月1日号より)

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 次回は、「人類一家族世界のモデルに」をお届けします。


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