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青少年事情と教育を考える 217
子供の肥満の割合が悪化の傾向

ナビゲーター:中田 孝誠

 今回は、子供の健康について取り上げたいと思います。

 厚生労働省から今月、「健康日本21」(第二次)の報告書が発表されました。
 「健康日本21」は、生活習慣病の原因となる生活習慣の改善などを目標に推進されている国民健康づくりの運動です。
 報告書は、健康寿命や生活習慣病予防、こころの健康など、2013年から取り組んでいる運動をA〜Dの4段階で評価しています。

 この中に「次世代の健康」の項目があります。
 例えば、「朝昼夕の三食を必ず食べること」に気を付けている子供の割合を増やすという目標はC(目標を設定した時と変わらない)という評価でした。2010年調査では9割近くの子供が三食を必ず食べることを意識していて、現状も100%ではありませんが9割以上の高い割合を維持していました。

 「運動やスポーツを習慣的に行っていない子どもの割合の減少(1週間の運動時間が60分未満の子供の割合を減らす)」は、B(改善傾向にある)評価です。
 こちらは2010年の男子10.5%、女子24.2%から、2019年にはおのおの7.9%、13.0%に低下していました。ただし最近はコロナの影響もあるのか、男女とも割合がやや上昇しています。

 また、「肥満傾向にある子どもの割合の減少」という目標はD(悪化している)です。小学5年生で肥満傾向の子供は、2013年に8.59%でした。これが2019年に9.57%に上昇しています。悪化の原因は運動不足だと考えられます。

 報告書では、「子どもが健康でいるためのモチベーションとなる夢や希望が持てる社会の構築」を目指し、子どもの貧困と健康問題の対策、ICT(情報通信技術)やゲーム依存と子供の健康についての科学的根拠に基づく対策を検討するとしています。

 一方、食生活の改善目標の一つである「共食の増加(食事を1人で食べる子供の割合の減少)」はA(目標値に達した)と評価されました。
 共食が少ない子供は肥満が多く、共食は子供の健康と食生活の改善につながるとされています。
 特に朝食は一人で食べることが多くなりがちですが、家族一緒に、あるいは家族の誰かと食べることが子供たちにとっては大切だというわけです。