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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

23回 障がい者福祉編⑤
障がい者雇用枠で一般企業に就職したいのですが…

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「軽度の発達障害を抱えています。障がい者雇用枠で一般企業に就職したいと考えていますが、どのような準備をしたらよいでしょうか?」という質問にお答えします。

 前回お話ししましたように、障害者総合支援法が定める支援サービスの一つに「就労支援」があります。

 就労支援には大きな枠組みとして、就労移行支援と就労継続支援がありますが、今回は一般企業への就職を目指す人を対象とした福祉サービスである就労移行支援についてご説明します。

 就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障がいのある人に対し、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行うサービスです。

 障がいのある人が就労する場合、不安になったり、どうしたらいいか迷ったりすることも多いと思います。

 例えば「自分に合った仕事が見つかるのか」「体調が悪くなったらどうしようか」「障がいとどのように付き合いながら働いたらよいのか」などです。

 そのような悩みを抱えた人たちの相談に乗り、サポートしてくれるのが就労移行支援なのです。

 就労移行支援は、具体的には地方自治体から指定を受けてサービスを提供する「就労移行支援事業所」に通所する形で行われます。

 就労移行支援事業所は全国に3000カ所以上ありますから、おそらく皆さんがお住まいの地域にもあると思います。

 この事業所を利用できるのは、一般企業で働くことを希望する、障がいや難病のある18歳以上65歳未満の人ということになっています。

 障害者手帳を持っていなくても、医師や自治体が就職に困難が認められると判断すれば利用できます。

 就労移行支援事業所で受けられるサービスは、就職に関する相談や就職の知識やスキルアップのための講座、職場体験、就職活動のサポートなどです。

 ただし就労移行支援事業所は、制度上、直接企業を紹介することはできません。

 そのためハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センターなどと連携し、本人にとって最適な職場を見つけるためのサポートを行うことが主な役割となります。

 また就労移行支援事業所では、就職した後、安定して働き続けるためのサポートをする「就労定着支援」も実施しています。

 就労移行支援事業所を利用する場合、まず利用したい事業所を探し、見学に行くのがよいでしょう。

 お住まいの市区町村の障害福祉課などに相談すると、通える範囲内にある事業所を紹介してもらえます。

 利用したい事業所や利用時期が決まったら、お住まいの自治体の障害福祉課に申請書を提出します。

 手続きの方法は自治体ごとに異なる部分もありますが、基本的な流れとしては、申請書提出後、認定調査員による訪問調査があり、サービス利用の可否が判定されることとなります。

 無事にサービス利用が認められ、相談支援専門員が作成したサービス利用計画を提出すると、「就労移行支援受給者証」が発行されます。

 発行されたら、利用する事業所と利用契約を結び、利用開始となります。

 就労移行支援の利用料金は、前年の世帯収入に応じて決まります。市町村民税非課税世帯の場合は、自己負担額は無料となります。

 利用期間は、利用開始から就職が決まるまでとなっていますが、原則2年以内と定められています。

 市区町村と事業所により就職の見込みがあると判断された場合、短期間の延長が認められることもありますが、誰でも必ず延長できるということではないので、ご注意ください。

 それでは、今回の講座はここまでにしたいと思います。