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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

22回 障がい者福祉編④
障がいのある人を支援するためのサービスは?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「障がいのある人を支援するためのサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?」という質問にお答えします。

 現在、日本における障がい者支援の方法は、障害者総合支援法という法律で定められています。

 障害者総合支援法は、それまで施行されていた障害者自立支援法を改正するかたちで20134月に施行されました。その後、2018年と2021年の2回改正が行われました。

 障害者総合支援法の対象者は、身体障害者、知的障害者、発達障害を含む精神障害者、および難病患者です。

 障害者手帳を持っていなくても福祉サービスの対象となることがありますが、基本的には障害者手帳を持っている人の方が手厚い支援を受けられます。

 では、障害者総合支援法で受けることができる福祉サービスにはどのようなものがあるのでしょうか。

 この法律で定められた支援の方法には、大きく分けて①自立支援給付と②地域生活支援事業の二つがあります。
 それぞれ詳しく見ていきましょう。

 ①自立支援給付には、主に➊訓練等給付、➋介護給付、➌自立支援医療、➍相談支援の四つのサービスがあります。

 まず➊訓練等給付には、就労支援、自立訓練、居住支援などがあります。

 就労支援というのは障がい者の就労に関するサポートで、就労継続支援、就労移行支援、就労定着支援があります。

 自立訓練には、身体障害者のための「機能訓練」と、精神障害者、知的障害者を対象とする「生活訓練」があります。

 また居住支援は、一人暮らしを希望している人が自立した生活が送れるよう支援する「自立生活援助」と、グループホームなどの共同生活の場を提供する「共同生活援助」を指します。

 次に➋介護給付は、日常生活で必要な介護の支援を提供するもので、居宅介護や重度訪問介護などの訪問サービスと、短期入所、療養介護、生活介護などのような施設におけるサービスに分かれます。

 自立支援給付の三番目のサービスは、➌自立支援医療です。

 これは、障がいの治療にかかる自己負担を少なくする制度です。
 通常の医療費は原則3割負担ですが、この制度を利用すると原則1割負担で済みます。

 さらに精神科に通院する場合、世帯所得に応じて定められた上限額があり、それを超えた医療費は払わなくてよい、という制度もあります。

 四番目の➍相談支援というのは、「サービス等利用計画書」の作成をしてくれたり、地域での生活をサポートしてくれたりするサービスです。

 障害者総合支援法で定められた支援のもう一つの柱は、②地域生活支援事業です。

 こちらは、障がいのある人の日常生活や社会生活を過ごしやすいものにするために地方自治体が行う事業です。

 相談支援や基幹相談支援センターの設置、成年後見制度の利用支援、日常生活用具の給付などさまざまな支援がありますが、地域によって内容に違いがありますので、詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。

 サービスを利用したい場合は、まず自治体の窓口に相談します。

 自治体が障害者総合支援法の支援対象であると判断した場合、障害支援区分というレベル分けが行われます。1から6までの段階があり、6が最も支援の度合いが高くなっています。

 決定したレベルに応じて受けられるサービスも変わってくるのですが、これは高齢者の介護保険制度と非常に似通ったシステムだと言えますね。

 それでは、今回の講座はここまでにしたいと思います。