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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

24回 障がい者福祉編⑥
障がい者の就労にはどのような道があるでしょうか?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「娘が特別支援学校を卒業しました。今の状態では通常の会社で働くのは難しいと思うのですが、どのような道があるでしょうか?」という質問にお答えします。

 前回は、一般企業への就労を支援する「就労移行支援」についてご説明しました。
 今回は、就労移行支援と同じく障害者総合支援法に基づく就労系のサービスである「就労継続支援」についてお話しします。

 就労継続支援は、通常の事業所に雇用されることが困難な障がいのある人に就労の機会を提供すると共に、仕事やその他の活動を通じて知識や能力を向上させることを目的としたサービスです。

 これには雇用契約を結んで利用する「就労継続支援A型」と、雇用契約を結ばずに利用する「就労継続支援B型」があります。

 まず就労継続支援A型は、一般企業への就職に不安がある、あるいは困難だという障がい者が、一定の支援がある職場で、雇用契約を結んだ上で働く福祉サービスです。

 ここで知識や能力を身に付け、自信をつけた後、最終的には一般就労に移行することを目指します。

 A型の対象者は、特別支援学校を卒業した後、就職活動を行ったが雇用に結び付かなかった人や、就労移行支援事業所を利用していたが2年以内に就職できなかった人、企業で就労していたが離職してしまった障がいのある人などが、具体例として挙げられます。

 勤務形態は基本的に一般就労と変わりませんが、一日の勤務時間は比較的短くなっています。

 仕事内容は商品の包装作業やパソコンのデータ入力、飲食店のホールスタッフなどさまざまで、一般企業とあまり変わらない業務を行う事業所も多くあります。

 A型は雇用契約を結んでいるので、利用者は法律で規定された最低賃金以上の給料を受け取ることができます。給料の平均月額は78万円とされています。

 ただし就労継続支援には利用料が必要で、その金額は世帯収入と通所日数によって違います。世帯収入によって上限月額が決められており、市町村民税非課税世帯は自己負担額が0円となります。

 利用期間は事業所と利用者との間で結ばれる雇用契約によって決まります。

 次に、就労継続支援B型についてご説明します。

 B型は、一般企業への就職に不安がある、または困難だという障がい者が、雇用契約を結ばないで、軽作業などの就労訓練を行う福祉サービスです。

 障がいや体調に合わせて自分のペースで働くことができ、そこで知識や能力を身に付けた人は就労継続支援A型や一般就労への移行を目指すこともできます。

 B型の対象者は、障がいのある人の中で、過去に就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人や、50歳に達した人、障害基礎年金1級を受給している人、就労移行支援事業者などによってB型の利用が適切だと判断された人、などです。

 作業内容は部品加工や商品の袋詰め、簡単な調理、農作業などさまざまなものがあります。

 作業時間を11時間だけにしたり、週1日だけ利用したりすることも可能で、自分のペースで働くことができる点が特徴です。

 B型は雇用契約を結ばないため、受け取る工賃は最低賃金額を下回ることが多く、平均工賃は月額12万円だといわれています。

 B型の場合も利用料が必要で、A型と同様、世帯収入と通所日数によって金額が違います。世帯収入によって上限月額が決められているのも同じです。

 A型、B型ともに、就労継続支援を利用する際は、まず自治体の窓口やハローワーク、インターネットなどで働きたい事業所を探すことから始めます。

 希望する事業所が受け入れてくれると決まったら、市区町村の窓口で利用申し込みを行います。その際、どのサービスをどのように利用するかを説明する「サービス等利用計画案」を提出する必要があります。

 それでは、今回の講座はここまでにしたいと思います。