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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

窮地に立つ中国とロシア

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、912日から18日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 韓国首相が安倍氏の国葬参列へ(15日)。上海協力機構首脳会議がウズベキスタンで開催(1516日)。中露首脳会談の開催(15日)。北朝鮮、平壌宣言「日本が白紙状態にした」と述べる(16日)、などです。

 習近平主席は914日、カザフスタンを訪問。15日にはプーチン大統領と会談しました。
 対中包囲網の構築を進める米国をけん制する狙いがあることは確かです。しかし思うように進んでいないのが現実です。その理由を順に説明しましょう。

 今夏の訪問は、91516日に開催される上海協力機構(SCO)首脳会議に参加するためでした。
 今回の会議には、中露と中央アジアの首脳に加え、インドのモディ首相、トルコのエルドアン大統領、イランのライシ大統領ら計15カ国の首脳が出席しました。

 正式な加盟国は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンであり、トルコは対話パートナー、イランはオブザーバーの位置付でしたが、今回、イランの正式加盟国への昇格を承認、ベラルーシの正式加盟に向けた手続きを始めることも決まりました。今後、加盟国は計10カ国になります。

 ロシア大統領府の発表によれば、このたびの首脳会談での冒頭、プーチン氏は「中国のバランスの取れた立場を高く評価している」と述べたといいます。
 さらに台湾情勢を巡っては、「『一つの中国』原則を強く支持し、台湾海峡での米国などによる挑発を非難する」と強調し、習氏の立場を強く擁護しました。

 また中国外務省は、習氏は会談で「双方の核心的利益に関わる問題で互いに力強く支持したい」と述べたといいます。
 核心的利益としては、体制維持と領土の一体性問題が最上位に位置付けられます。

 9月に入り、ウクライナにおけるロシアの劣勢が明らかになってきています。
 中国とすれば、ロシアと共に国際社会からの孤立がさらに進む事態は避けたい考えがあるでしょう。習氏は直接的な軍事面での支援などには踏み込まなかった模様です。

 しかしプーチン氏は会談で、「昨年の中露の貿易総額が35%増の1400億ドル(約20兆円)となった」とし、対露政策が続く中で、「今年、われわれは記録を更新するだろう」と述べて、貿易の拡大、連携の強化に期待を示しました。

 中国がロシア産原油の輸入拡大などで、欧米の対露制裁の抜け穴になっているのは事実であり、今年の中露の貿易額は過去最高を記録するとみられます。
 慎重姿勢を示しながらも、中国とロシアが連携強化に向かっていることは確かでしょう。

 中露首脳会談に合わせるように、中露海軍が15日、太平洋海域で艦砲発射訓練などを行う「合同パトロール」を開始し、同日に中国海軍の測量艦が鹿児島県屋久島南方の日本領海にも侵入しています。
 ウクライナと東アジアの情勢が密接につながっている現実を一層厳しく認識しなければなりません。

 ロシアの動きと連動しながら台湾海峡危機の可能性が高まっていることを警告したいと思います。


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