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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

尖閣国有化から10

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、95日から11日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 英リズ・トラス氏、英国首相に就任(96日)。米がICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を露に通知(7日)。米仏議員団それぞれ台湾入り(7日)。韓国最大野党代表・李在明氏を在宅起訴(8日)。エリザベス女王が死去、在位70年(8日)。日本政府による尖閣国有化から10年(11日)、などです。

 2012911日、魚釣島、北小島、南小島の三島を日本政府が取得、国有化しました。
 同年4月に東京都の石原慎太郎知事(当時)が3島購入計画を表明し、中国側の反発を最小限にとどめる方法として国有化を選んだのです。地権者との売買契約は205,000万円でした。

 2012年当時、尖閣周辺を巡る日中の「力」関係は均衡を保っていました。しかし今では、中国船数は海上保安庁(国土交通省、以後海保)の2倍となり、有事に至らないグレーゾーンが常態化しています。
 海保と海上自衛隊との連携を強化する国内の法整備は不十分な状態が続いているのです。

 台湾有事への懸念は一層深刻になっています。米国は尖閣を対日防衛義務に含める立場で、中国が尖閣のみを狙うとの見立てではありません。台湾有事に日本の南西諸島が巻き込まれるのは必然です。
 麻生太郎氏は、「台湾でドンパチが始まるということになったら、沖縄県の与那国島や(鹿児島県の)与論島は戦闘区域外と言い切れない」と、8月末に警鐘を鳴らしました。

 台湾を巡る新たな状況が定着しつつあります。
 米国のペロシ下院議長の台湾訪問を前後して、中国が軍事演習を行い、84日、沖縄県与那国島に近い海域、わが国のEEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイル5発を着弾させました。
 さらに人民解放軍の無人機2機が824日、沖縄本島と宮古島の間の上空を東シナ海から太平洋に向けて飛行しました。極めて深刻な事態が進行していると見なければなりません。

 これらの動きは、尖閣周辺の日本の実効支配を突き崩し、中国が管理しているという実態をつくり出そうとしており、相次ぐ現状変更の試みは台湾有事の際の日米の出方を試す意味合いもあると懸念されます。

 中露の連携も明白です。今年3月、中国の無人偵察機が尖閣北方の日本の防空識別圏を飛行し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブルで対応しましたが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻と連動するものであり、ロシア軍との共同行動と言えます。

 929日は日中国交正常化50周年となります。外相や首脳レベルの対話で緊張緩和を模索していますが、見通しは立っていません。
 中韓国交正常化30周年は、それぞれの国で行いました。同様の対応でいいと思います。


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