青少年事情と教育を考える 207
日本の高校生、「将来の希望や目標がない」

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回に続いて、高校生の国際調査を取り上げます。

 国立青少年教育振興機構が実施した「コロナ禍を経験した高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」です。
 昨年9月から今年初めにかけて実施され、日本の高校生約4000人、米国1900人、中国約3400人、韓国約1800人が回答しました。

 その中で前回は、日本の高校生は家族・親との関係が良好で、コロナ禍前の調査に比べてもその割合が高くなっていることを紹介しました。

 もう一つ、「家族を信頼している」という日本の高校生は95.1%、「友達を信頼している」も91.7%でした。他国も8~9割でしたが、いずれも日本の割合が最も高くなっていました。

 しかも、2014年の調査と比べると、「家族を信頼している」は日本だけが2014年(93.3%)より高くなっています。
 もちろん、家族関係では比較的良好という結果が出たものの、日本の高校生に課題がないというわけではありません。

 例えば、「自分の将来に不安を感じている」(日78.6%、米67.3%、中48.4%、韓68.5%)は4カ国中最も高く、「将来への希望を持っている」(同76.1%、86.3%、88.5%、79.1%)、「自分の将来の目標をはっきり決めている」(同61.0%、65.4%、71.0%、64.7%)は、逆に最低でした。

 国民性の違いもあるでしょうが、日本は将来の目標を持っていない若者が多いということもいわれてきました。
 この調査の報告書では、高校生の現在の勉強と将来の希望や目標との結び付きが弱いのではないかと分析しています。言い換えると、毎日の勉強が、将来の目標に向けたものになっていないということでしょうか。

 高校生が将来に不安なく、希望や具体的な目標を持てるよう、親と学校を中心にこれまで以上に意識する必要があるということでしょう。