青少年事情と教育を考える 201
スマホの「家庭内ルール」作りを

ナビゲーター:中田 孝誠

 子供のスマートフォン使用について、本欄でも度々取り上げてきました。
 親にとっては、子供がトラブルに巻き込まれることや、長時間の使用による心身への影響などが心配ですが、そういうときに必要とされるのがペアレンタルコントロール、具体的には家庭でのルール作りやフィルタリングサービスの活用です。

 子供をトラブルから守るために家庭のルール作りが重要であることを示す調査結果が5月に公表されました。
 総務省の「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」です。
 未就学児から高校生までの子供の保護者6500人が回答しています。

 例えば、子供がスマホを利用する際のルールが一つもないという家庭が4割(37.1%)に上っています。
 ルールを決めている家庭では、主に「利用時間帯に関する約束」(24.8%)、「情報の取り扱いに関する約束」(25.6%)、「トラブルの時は必ず相談する」(25.3%)といったことを守らせるようにしています。
 低学年では利用時間、高学年では情報の取り扱いやトラブル時の相談が多くなっています。

 家庭内ルールやフィルタリングサービスとトラブル遭遇との関係を見ると、「家庭内ルールあり」の家庭では、フィルタリングサービスを利用しているかどうかにかかわらず、「家庭内ルールなし」の場合よりトラブルに遭遇しにくい傾向が見られました。

 一方で、「家庭内ルールなし・フィルタリングあり」の場合は、トラブル遭遇との関連が見られませんでした。
 つまり、「家庭内ルール」が子供たちのトラブルを防ぐ上で大きな役割を果たしていることを示唆しています。ちなみに、家庭内ルールもフィルタリングの利用もないという家庭は3割ありました。

 また、子供が利用するアプリの対象年齢・推奨年齢を確認し守らせている場合も、そうでない場合よりトラブルに遭遇しにくい傾向がありました。
 その他、親子が接する時間が長い方がトラブルに遭いにくいことも示しています。

 調査報告書は、多くの保護者は家庭内ルールが重要だと考えているものの、特に未就学児の保護者は年齢に合った適切なルールを作りたくても何をすればいいか分からないのではないかと分析。トラブルを防ぐために、家庭内ルールの啓発とフィルタリングの導入促進を合わせて行うことが効果的だと指摘しています。

 子供をトラブルから守るために、親の意識の啓発、特に若い親への情報提供などが一番の基本だと言えそうです。