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中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
  第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。

 同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。

第11回「性教育」について考える(上)

(中和新聞 2022年1月21日 通巻1429号より)

 このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回から3回にわたって、「性教育」について考えます。

■「取って食べなさい」と教える「性教協」
 1990年代から2000年代前半に過激な性教育やジェンダーフリー教育が世間の注目を集めました。当時、これらの教育を問題視した方も多いのではないでしょうか。あれから20年以上の月日が流れた20215月、朝日新聞に「いまどきの性教育」という記事が掲載されました。

 「最近、書店に行くと家庭向けの『性教育本』がずらりと並んでいます」という導入から、3人のオピニオンを掲載。そのうちの一人、性教育がテーマのコミックエッセーを執筆した漫画家のフクチマミ氏は、共著『おうち性教育はじめます』(KADOKAWA)を紹介しながら次のように述べています。「発売から1年余りで、15万部を超える売れ行きです。家庭での性教育を扱う本が次々に出て、関心の高まりを感じます」

 「性教育」に関する書籍が10万部を超えるのは異例のことだといいます。ショッピングサイトの最大手の一つ「Amazon(アマゾン)」では、20221月時点でも本書が「保健体育」というカテゴリーの「ベストセラー1位」になっています(20万部突破)。近年、最も売れている「性教育本」と言えそうですが、どのような内容なのでしょうか。

 本書は、フクチ氏をはじめとする父母たちが「長年性教育に携わっている」という村瀬幸浩氏に「教えを請う」というスタイルになっています。全編、フクチ氏のゆるくて楽しげなイラストによって、非常に親しみやすく読みやすい性教育本に仕上がっています。例えば、子供の「プライベートパーツ」(口、胸、性器、お尻)を、親も含めて他人がかってに触ったり、子供に人に触らせたりしないように教えるなど、具体的なアドバイスが書かれています。

 しかし、ここで注目してほしいのは、本書で性教育をナビゲートしている村瀬氏は、2000年代に過激な性教育を牽引した「人間と性教育研究協議会(性教協)」の発起人の一人であり、現在もその一員だということです。かつては代表幹事を務めたこともあります。「性教協」といえば、同じく発起人の故・山本直英氏が有名ですが、村瀬氏も山本氏と志を同じくする人物だと言えるでしょう。

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 村瀬氏は本書の最初で「日本の性教育はハッキリ言ってかなり遅れているんだよ」と述べ、さも自身の性教育が先進的であるかのように指導を進めていきます。

 後半には、マスターベーション(自慰行為)を「セルフプレジャー」(自己快楽)と言い換え、「うしろめたいことでも悪いことでも全くないからね」「(マナーを守っていれば)1日に何回しても大丈夫」と、読者である親子にささやきかけているのです。本書にも記されていますが、「マスターベーション」とは「手で自分自身を汚す」という意味のラテン語に由来しています。村瀬氏は「そんなマイナスイメージを払拭したくて」「セルフプレジャー」などと呼び、親子に奨励しているのです。

 言葉を言い換えることで、その概念までも変えようとするのは、左翼や共産主義者らの常套手段です。もちろんコンドームやピルなどの避妊方法も積極的に紹介されていますが、子供たちに「取って食べなさい」と言わんばかりの性教育が、現在も平然と行われているのです。

 このほかにも、性教育と併せてLGBT(性的少数者)が好意的に紹介されています。「性別」とは「グラデーションのようになっていて、そのときどきで揺れるものでもあったりするんだよ」と、いわゆる「多様な性」教育についてまで、自論を展開しています。さらには、「男らしさ」「女らしさ」を否定するなどしています。

■「多様な性」の美名のもとの過激な性教育に注意
 「いまどきの性教育」を注意深く見てみると、本質的には2000年代に問題視された過激な性教育やジェンダーフリー教育と、さほど変わらないことが理解できるでしょう。

 村瀬氏を筆頭に性教協は現在も精力的に活動を展開しており、漫画やイラストを多用した教材などを数多く提供しています。

 その中の一つ、性教協の幹事・渡辺大輔氏(埼玉大学基盤教育研究センター准教授)による『マンガワークシートで学ぶ多様な性と生~ジェンダー・LGBTQ・家族・自分について考える~』(子どもの未来社)は、「道徳」の時間に使用されることを想定して作成したといいます。その中の解説には、「『異性愛』も『同性愛』も『両性愛』も『無性愛』も、性の多様性の中に対等に位置づく」といった指導まで見受けられます。

 このような指導が子供たちにとって必要なのか甚だ疑問ですが、現在の学校現場では性教協のような性教育が主流になっているのです。

 20214月に作成された高校生向けの性教育パンフレット「#つながるBOOK」は、厚生労働省の助成研究の一環として、埼玉県内の産婦人科医や大学教員らが手がけました。そのデザインなどから大変読みやすい紙面になっており、ウェブサイトとも連携しています。ここでも「セルフプレジャー」が推奨され、さらには「性器の挿入だけがSEXではないよ」「SEXとは、コミュニケーションのひとつ」など、高校生がSEXするのが大前提になっているのです。

 また、さまざまな避妊方法も紹介されていますが、そのような知識をことさらに教え、自慰行為を勧めるような性教育が、子供・未成年にとって本当にふさわしいものなのでしょうか。

 次回は、この問題点に加え、現在世界的に問題視されつつある「インターネットポルノ中毒」についても詳しく見ていきたいと思います。

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 次回は、「『性教育』について考える〈中〉」をお届けします。

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