コラム・週刊Blessed Life 215
対独戦勝記念日を節目にロシアはどこへ!

新海 一朗

 ロシアがウクライナに攻め入った224日から59日まで75日、2カ月半が経過して、ロシアは対独戦勝記念日の今日、プーチン大統領の演説を中心として、ウクライナ戦争を新たな段階に推し進める意思を世界に示すことになります。

 プーチンの演説内容がどういうものであれ、ウクライナ侵攻がロシア軍の思うままにいかなかったことは歴然たる事実であり、59日を境にどのような方向性が打ち出されるのか、世界は注目しています。

 FSB(ロシア連邦保安庁)が公表している興味深いデータによれば、20221月から3月まで、ロシアから国外脱出した人々は、388万人に上るということです。
 ウクライナの避難民の話はよく報道されるのですが、ロシアの避難民が388万人もいるというのは驚きです。少なくない数字です。彼らはどこへ行ったのでしょうか。

 ロシアから国外に脱出した388万の人々の行き先は旧ソ連の構成国であり、199112月のソ連崩壊と共に独立した国々です。
 アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、エストニア、カザフスタン、キルギス、ジョージア、タジキスタン、トルクメニスタン、モルドバ、ラトビア、リトアニアなどです。

 ロシア語が通じるからということでしょう。ウクライナ侵攻の正当な理由、人倫にのっとった道義、すなわち「大義」を見いだせなかったロシア国民が、ロシアに住むことをやめ、逃げ出したのです。
 こういうロシア脱出の国民がいるという事実から見ても、ウクライナ侵攻が無謀であったということです。

 プーチンはなぜウクライナ戦争を始めたのか。本当に愚かであったと言わなければなりません。
 一方で、「いや、プーチンにはウクライナに対して正義の怒りがあったのだ」という見方もあります。「ウクライナはやばい国だ」というのです。

 ウクライナという国に、いろいろな問題(生物化学兵器研究所がある/人身売買が盛んであり、子供たちを救出しなければならない/麻薬取引、マネーロンダリングなどの悪徳ビジネスが盛んだ/ネオナチがウクライナの政治を狂わせている、など)があり、ウクライナを正すために、神はプーチンを用いているという考え方です。

 しかしながら、そういうことを言うのであれば、こう申し上げましょう。

 例えて言えば、「日本にはいろいろ問題が多い。これを正すために、中国は日本列島に攻め込むのだ。ミサイルを撃ち込むのだ。中国は日本を正さなければならない」という考えで対日戦争を始める中国に対して、まさに「中国は正しい」と言っているようなものです。

 ウクライナの問題は、誰彼に言われる前に、ウクライナ自身が取り組んで解決すべき問題です。この視点が重要です。
 ロシアは正義の立場であると考えようが考えまいが、プーチンの決断は決定的に間違っていたと考える方が、理にかなっていると言わなければなりません。

 5月9日を節目に、ロシアはどこへ向かうのか。
 戦争続行か、戦争停止か。どうしてもこの戦争に勝利の花を飾りたいという野望によって、核兵器まで使用する羽目になれば、その報復が米国の決死的な決断によって実行され、ロシアは木っ端みじんにされる可能性も出てきます。
 そうならないように祈ります。ただ、戦争停止と世界の平和を祈るのみです。