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信仰の伝統
教会創立以前から文鮮明先生に侍って(33)

 家庭連合の信仰の長兄である金元弼(キム・ウォンピル)先生(1928~2010)の講話をまとめた書籍、「信仰の伝統」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 本書を通じて神様の深い愛と文鮮明先生の心情の世界、信仰の在り方を学ぶことができます。

金元弼・著

(光言社・刊『信仰の伝統 教会創立以前から文鮮明先生に侍って』より)

第一部[証言]先生と歩んだ平壌・興南時代
三、興南監獄での伝道

▲金元弼先生

共産党の抑圧政策

 事実、共産党は、徐々にキリスト教を抹殺していました。一例を挙げてみましょう。

 小学校の児童の中には、親が教会に行っている子供がたくさんいました。子供も親と一緒に通い、日曜学校にいつも参加するのです。平壌は、韓半島でキリスト教が最初に広められて、非常に盛んな所でした。ところが、学校では日曜日に、特別の登校の日を設けました。クラスの全部が全部、教会の学生ではないのですから、クリスチャンでない子供を日曜学校の時間に教会へ送るのです。そして、自分のクラスの誰が日曜学校に出ているのかをチェックさせました。

 北韓では、少年の時には少年団を、青年になると民主青年同盟をつくっていました。そこから労働党、共産党へと行くのです。このような段階を通して、小学校の時から既に共産党員になるための教育を、着々と進めているのです。全員、少年団員になるのです。月曜日には、学校の勉強が終わってから、少年団員の会議があります。そこでは自己批判、総合批判が始まります。お互いに批判するのです。そこで日曜日に出てこなかった児童を立たせます。先生がそうするのではありません。先生は、そばに立っていて傍聴しています。

 少年団の団長は、日曜日に学校へ来なかった子供の理由をよく知っています。それを知らないふりをして、その児童を立たせて、「お前は、なぜ日曜日の特別の学習に、特別の集会に出なかったのか、その理由を自己批判しなさい」と言って、自己批判させるのです。幼い子供ですから、強い信仰をもっているのでもないし、全員の雰囲気がそうなるので、正直に「私は教会へ行っていました。これからは、そうしない。その活動には悪魔がいます」と、涙を流しながら悔い改めなければならないようになります。

 それは小学校ばかりではなく、中学校、大学、どこにでも適用されるのです。職業をもっている人は職業別に、教員、農業関係、炭鉱労働者など、職業同盟をつくりました。個人で商売する人は、48年の時には街頭組織がありました。ですから、働かないと食べられないような社会になっているのです。

 野宿者は、働かないで食べる者です。物を乞うということ自体は一種の働きですが、それは自分のため以外の何ものでもありません。それゆえに、野宿者でも働かなければ、食べ物は何も与えないという主義ですから、全国の野宿者を一つの島に収容しました。そこで働かせたのでした。また、酒を飲んで人を殴ってお金を取るという、やくざな者たちがいました。そういう者を一つの所に集めて働かせます。ですから、やくざは一遍にいなくなりました。やくざも野宿者もいないのです。

 また個人の財産をどろぼうするのは、とっても軽い罪ですが、公的なものを盗めば、極めて厳しいのです。軽くて3年の刑です。

 仕事をしている人たちには、仕事が明けたら、毎日のように復習の時間を与えて、理論を教育していきました。しかし、学校教育を受けていない人は字が読めず、いくら共産主義理論を教えても分からないので、教えることができません。そこで、小学校の児童を動員して、文盲退治ということで、田舎の人たち、勉強していない人たちや老人の教育を始めました。子供たちには、親のところへ行かせ、どんどん連れてくるようにさせました。親は、子供がかわいそうに思われて、出なければならなかったのです。

 次には、地主から土地を無償で回収して、地主を追っ払い、ある者は炭鉱に行かせて強制労働をさせ、その土地は、土地のない農夫に分け与えたのです。苦しく貧しい生活をしていた人たちですから、まずは喜びました。ところが、収穫の大部分を現物税という名目で取り立てるので、地主の下で暮らしていた時より税も高く、もっと苦しい生活となったのでした。

 転職のとき、南では自由にほかの職場に移ることができるのですが、ここでは許されませんでした。行こうとしても、お金がなければ、また許可を受けなければ行けない世界なのです。そういう中で、先生がみ旨を行うのは、どれほど難しいことであったかが分かると思います。神のみ旨からすれば、先生を迎えるためにキリスト教を準備したにもかかわらず、そのキリスト教は、先生に反対し、牢屋に送ったのでした。

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 次回は、「内務省での拷問による取り調べ」をお届けします。


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