夫婦愛を育む 13
「~されたから」という被害者意識

ナビゲーター:橘 幸世

 現代社会に生きる私たちは、かつてないほどのストレスにさらされているといわれています。
 そんな中、瞑想(めいそう)やマインドフルネスを取り入れる企業などが増え、メディアでも取り上げられることが多くなりました。それらで説かれているのが、呼吸法。目を閉じて、ただ自分の呼吸だけに意識を集中するよう指導しています。

 知人がその呼吸法をやってみた時の体験を話してくれました。
 瞑想について紹介したテレビ番組を見た後の祈りの時間に、試してみたそうです。
 ある人の不誠実な姿勢に、負の感情を処理しきれずにいたからとのこと。

 物事をどう受け止めるかは自分次第、と頭では分かっていても、理性と感情は別物です。相手を責めず、平常心でいるのは容易ではありません。神を信じ、より善く生きようと努めていれば、かえって負の感情に振り回される自分を責めて、葛藤がダブルになることもあるでしょう。

 さて、吸って、吐いて・・・と、そこだけに意識を集中してみたら、すぐに「あ、私、被害者意識に陥っている!」との気付きが「降りてきた」と彼女は言いました。その瞬間、不当な扱いをした(と自分が思っている)相手への負の感情が、取れたそうです。

 呼吸に意識を集中することで、一種の無となり、自分を客観視できたのではと想像します。神様からのメッセージが降りるゆとりが生まれたと言えるかもしれません。

 「被害者意識」――「~された」との思いから物事を見ると、マイナスしか出てきませんし、何も好転しません。そこに陥っている自分に気付き、脱することができたのでしょう。
 現実は何も変わりませんが、心は随分楽になったそうです。

 きっかけはさまざまあると思いますが、答えを求める人には、そんな“気付き”が訪れて(神様が下さって)、やがては前に進めることでしょう。