夫婦愛を育む 12
「人のことは言えないけれど…」

ナビゲーター:橘 幸世

 最近メディアで「ブーメラン」なる表現がしばしば使われています。人のことを責めていたら、その責めた内容がそのまま自分に返ってきたケースを例えてのこと。人を指さしたら、自分の指3本は自分に向かっている、ともいわれますね。メディアによるバッシングの様を見ると、そのコメントをしている人たちに責める資格があるのだろうかと思わずにはいられません。

 私たちも日常でついつい他人の非を見て、「人のことは言えないけれど」と前置きをしながら、結局言ったり責めたりしてしまいがちです。責める資格が自分にないと知りつつ、言いたくなる…!

 自分もできていないと自覚していても人を責めたくなるのですから、ましてや自分はちゃんとやっていると思っている人、正義感の強い人が責めずにいるには、かなりの精神的成熟度が必要かと思います。
 裁いている自分を好きな人はいないでしょうし、気分もよくありません。人間関係にも負の影響を及ぼします。幸せにはつながらないんですね。

 これ、己を振り返りつつ自戒も込めて書いています。「裁くなかれ」との聖書の言葉を知りつつも、裁く思いが内にあるので、気を許す相手には出したくなります。

 統一原理では、これは堕落した天使長から受け継いだものだと説明しています。サタンと呼ばれるようになった彼は、自身が神に逆らったにもかかわらず、神が定めた原理を盾にざん訴してくるというのです。
 その由来を自覚するだけでも、「人のことは言わない」ようブレーキを掛けやすくなるかと思います。

 自分を客観視するのが、負の感情から解き放たれる第一歩です。
 さらに踏み込んだ、思いの転換については、次の機会に書いてみたいと思います。