青少年事情と教育を考える 11
性教育で大切なこと

ナビゲーター:中田 孝誠

 東京都足立区の中学校で行われていた性教育が問題になっています。今年3月、区立中学校の3年生を対象に人権教育の一環として行われた授業で、公開授業として行われました。「性交」や「避妊」「中絶」など、中学校の学習指導要領にはない内容が取り上げられ、生徒に具体的な性行為の是非についてアンケートに答えさせたり、授業中にもクラスメートや参観に来ている人たちの前で答えさせたということです。

 東京都教委も授業に問題があるとして、区教委を指導すると述べています。
 これに対して、“人間と性”教育研究協議会という性教育を推進している教師らのグループが「教育への不当介入だ」と抗議しました。授業を行った教師は同会の会員だったようです。

 同会は1990年代、学校現場で人形を使って小学生にまで性交を教えるなど過激な性教育を行い、大きな問題になりました。性倫理を排除し、性の知識が必要、性的自己決定能力が必要だと称してフリーセックスを勧めるような授業を展開、家族崩壊につながる思想も見られました。

 今回、同会は「学習指導要領は時代錯誤だ」と反論しています。しかし、学習指導要領を無視することは、教育を担う教師としては問題です。また、発達段階が異なる子供たちに対して、性という非常にセンシティブな、将来の人生に直結する教育を行う場合は、極めて慎重にしなければなりません。しかも保護者の了解を得ないで(親の教育権を無視して)、教師の考えだけで行うことも大きな問題だと言えるでしょう。

 ところで、性教育の問題を考える時、筆者はアメリカの「キャラクター・エデュケーション(人格教育)」を参考にしています。人格教育では、教育の目的である人格形成に焦点を当てて、性倫理や将来の結婚、出産の大切さを教えます。性行為に対しては「結婚するまで待つ」ように教えています。

 「性は個人にも社会にも大きな影響を及ぼします。倫理ある性観念、すなわち自分自身と他者を尊重して行動することは、高い人格の表れです。ですから、性教育は人格教育なのです。・・・・・・性に対する自己統制を教育することは、個人の人格の発達と、成人になったときにより深い愛のある関係を築くために必要なのです」(トーマス・リコーナ『人格教育のすべて』麗澤大学出版会)。

 子供たちの未来のために大切なことは何か。全ての人が考えていくべきことだと思います。