青少年事情と教育を考える 12
性教育は家庭で親が責任持って

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回に続いて、東京都足立区の中学校で行われた性教育の問題を取り上げます。

 この問題に対して、先月末、東京都教育委員会が「中学校等における性教育への対応について」を公表しました。
 今回の中学校では、避妊や人工妊娠中絶といった、学習指導要領では高校で指導することになっている内容を取り上げたことと、保護者の理解を十分に得ないまま授業が行われたことが問題となっています。

 中学校の学習指導要領には、「学校全体で共通理解を図る、保護者の理解を得ることなど配慮することが大切」「心身の成長発達には個人差があることから、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする」とうたわれています。また、都教委自身が平成16年に作成した「性教育の手引」でも、発達段階に即した内容であること、保護者に指導内容や方法を説明して理解・協力を得て計画を立てることなどを求めています。

 教育基本法の第10条には「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」とあります。とりわけ性教育は、人間にとって最も大切なことですから、保護者の理解を得て進める必要があります。
 アメリカでも最近、学校の過激な性教育に親が抗議し、子供たちを一斉に休ませるという出来事があったほどです。親の教育権、養育権はそれほど重要なことなのです。

 過激な性教育を行う人たちは、親が教えられないから教師が教える、と言います。しかし本当にそうでしょうか。
 性は、その人の人生設計はもちろん、未来の子孫につながる命の問題です。それほど価値あることですから、子供の発達を最も近くで見ている親が第一の責任を持つのが当然だと思います。

 教師と学校の役割は、まずはそうした親をサポートし、必要な時に適宜情報を提供するということなのです。