青少年事情と教育を考える 176
子供の視力低下予防に「外遊び」も重要

ナビゲーター:中田 孝誠

 本連載の146で、近年、子供たちの視力低下が進み、深刻化していることを紹介しました。
 スマートフォンの急速な浸透、1人1台端末の普及、そしてコロナ禍の影響でデジタル端末の利用が増えたこともあり、視力低下に警鐘を鳴らす専門家の声が以前より目立ちます。ちなみに1010日は「目の愛護デー」でした。

 文科省が実施している学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の児童生徒の割合は増加傾向にあり、2020年度は幼稚園(5歳)27.90%、小学生37.52%、中学生58.29%、高校生63.17%でした。小学1年生では4人に1人、6年生では約半数に上っています。
 子供の視力低下は進行しやすいことも心配な点です。

 これに対して、行政も対策を模索していて、子供たちの健康を考えてデジタル端末の使用時間を制限する自治体もあります。
 また、「外遊び」の推進で状況を改善しようという動きもあります。

 「子どもの健全な成長のための外遊びを推進する会」が8月に開催したシンポジウムで、専門家から、台湾では2010年に屋外活動を促す政策プログラムを導入したところ、視力不良の人が減少したことが紹介されました。同会は、屋外での遊びが子供たちの生活リズム改善や近視の抑制につながるとして、安心して外遊びできる環境づくりを訴えたということです。(「教育新聞」8月23日)

 もちろん、家庭での使い方と使用時間を注意することが最も重要です。生活習慣を改善していくことも、保護者が取り組める大切なことです。端末など近くのものを長い時間見続けないようにして、一緒に遠くの景色を眺めるよう意識することもできます。それは子供たちとの愛着を育てることにもつながるでしょう。

 デジタル時代だからこそ、機器の便利さだけでなく、子供の目の健康に注意したいものです。