シリーズ・「宗教」を読み解く 181
キリスト教の人生観⑬
新しいイスラエルであるとの自覚

ナビゲーター:石丸 志信

 ペンテコステの日、聖霊によって生まれ変わった弟子たちは、新しい家族共同体を形成した。

 「信者たちはみな一緒にいて、いっさいの物を共有にし、資産や持ち物を売っては、必要に応じてみんなの者に分け与えた。そして日々心を一つにして、絶えず宮もうでをなし、家ではパンをさき、よろこびと、まごころとをもって、食事を共にし、神をさんびし、すべての人に好意を持たれていた。そして主は、救われる者を日々仲間に加えて下さったのである」(使徒行伝 第2章44~47節)

 創造主である神を天の父と仰ぎ、救い主イエス・キリストに従い、聖霊によって互いに兄弟愛に結ばれた家族、信仰によって結ばれた共同体。これを「エクレジア(教会)」と呼んだ。初代教会の姿は、キリスト教会の伝統の原点であり2000年の歴史を導くモデルとなった。

 彼らは、当初からユダヤ人たちに約束された神の契約が更新され、新しい約束が与えられた新しいイスラエルであるとの自覚を持っていた。

 小さな共同体は、やがて、民族の次元を超えて世界へと広がっていく。使徒たちが出掛けていく所で、彼らが語る福音を受け入れる人たちの上にも、同じ出来事が起こることになる。

 イエスと聖霊によって生まれ変わる救いの体験を得た神の子らが世界に広がり、刷新されながら、2000年の伝統となった。