夫婦愛を育む 10
褒め言葉のパワー

ナビゲーター:橘 幸世

 高校生に英語を教えていると、たった一言の褒め言葉ですご~く喜ぶ男子生徒の姿に新鮮な驚きを覚えることがあります。

 中間テストで17点、"wish(望む)""wash(洗う)"の区別も怪しい3年生がいました(公立の進学校です^^;)。このままでは大学受験が危ういと心配し、たまたま廊下で出会った時、彼に声を掛けてみると、「いいんだ、先生。俺、剣道で入れるから」との答え。どうやらスポーツ枠で進学先のめどが立っていたようです。それでも話の流れから、期末テストで50点を目指して頑張ることになりました。結果は38点。目標には届かなかったけれど、答案用紙の点数の横に、「頑張ったね」と書き添えました。(普段は高得点の横に"Excellent"とか"Very good"と書くので、ある意味特別です)

 すると、それを見て彼は前後左右の同級生に、「おい、頑張ったね、だって!」と大きい声で見せまくり。縦にも横にも大柄で、見上げるような体格の彼が、本当に子供のように素直に喜びを表していました。「男性は褒められたい」と知ってはいても、そんなにうれしいんだぁ~、とその姿はとても印象的でした。

 また、こんな事もありました。試験前の自習時間に一人の男子生徒が挙手して、「~は、こうでこうで、こういう意味ですか?」と質問してきたので、私が「大正解!」と言うと、彼は「よっしゃ~!」と小さくガッツポーズ。周りの友人に「俺、今日チョ~さえてるかも」と言って、勉強にさらにエンジンがかかっていました。
 そんな折り、褒め言葉は本当に喜びとパワーを与えるんだなぁと、改めて思います。

 さあ今日も、身近な大切な人を、出会う人々を、称賛しましょう。