シリーズ・「宗教」を読み解く 166
復活節を記念して④
聖霊降臨

ナビゲーター:石丸 志信

 復活祭からひと月もすると日本では青葉若葉が萌(も)える季節となり、40日目には「主の昇天」を記念する。
 オリーブ山に集った使徒たちの前でイエス・キリストが天に昇られた出来事を思い起こす一日。

 イエス・キリストは、復活後40日間、弟子たちと共に過ごしながら神の国について語り聞かせた。
 天に昇られる時には、やがて聖霊によって新たな力が与えられ、全世界に向かっての証人となると予告。さらに、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣(の)べ伝えよ」(マルコによる福音書第16章15節)と命じたのだ。

 その10日後、復活祭の結びが聖霊降臨の出来事を記念する祝祭日だ。
 もともとこの日はユダヤ教の主要な祭りの一つ「五旬祭」(ヘブライ語で「シャブオット」、ギリシャ語で「ペンテコステ」と呼ばれる)だった。
 小麦の初穂を神殿にささげる収穫祭で、後に出エジプトの出来事と結び付け、モーセがシナイ山で神から律法を授かったことを記念する日となった。ユダヤ教誕生の記念日ともいわれる。

 二千年前、この祭りを祝うためにエルサレムに再び集まったイエス・キリストの弟子たちに聖霊が降り、彼らは新しい生命に生まれ変わった。そして力強く、「イエスこそ救い主キリストだ」と宣布するようになる。
 キリスト教にとってもこの日が誕生記念日となった。