シリーズ・「宗教」を読み解く 164
復活節を記念して②
イエス・キリストの出来事を想起する聖週間

ナビゲーター:石丸 志信

 キリスト教の伝統的な暦では、イエス・キリストの受難・死・復活を記念する復活祭(イースター)を迎える前に40日間の悔い改めの期間がある。これを四旬節(レント)と呼ぶ。

 「灰の水曜日」から始まるこの期間に、イエス・キリストを十字架の死に追いやった選民の不信仰、神への裏切りを自らの過ちとして真摯(しんし)に見つめ、悔い改める。

 この期間、カトリック信者たちの多くは、「十字架の道行の祈り」を通して十字架を担って「悲しみの道(ヴィア・ドロローサ)」を歩むイエス・キリストの姿を黙想する時間を持つ。

 復活祭を迎える最後の一週間は「聖週間」と呼ばれる。日曜日にイエス・キリストの「エルサレム入城」の出来事を思い起こす。
 聖木曜日に「最後の晩餐(ばんさん)」を記念し、聖金曜日は「受難」を想起し、一日喪に服した後に、復活徹夜祭を迎える。

 この夜、一本の大きな「復活のろうそく」に火がともされ、旧・新約聖書から選ばれた七つの朗読がある。

 イエス・キリストの復活は、アダムとエバの堕落によってもたらされた「死」から人類が解放され、新しい生命に至る道が開かれた、神の救いのみ業であると告げられる。

 復活祭に洗礼式が行われることが多いのは、聖週間の典礼を通して、霊的に生まれ変わる意味がよりよく実感できるからだろう。彼らは復活の喜びを味わいながら、その後に続く「復活節」を過ごしていく。それは木々が花を開き、若葉が芽を吹く春の喜びとも重なる。