青少年事情と教育を考える 154
性的マイノリティーについて授業を行った教員は1割

ナビゲーター:中田 孝誠

 ここ数年、LGBT、性的マイノリティーに関する話題が盛んに取り上げられています。教育現場でも教員研修が行われ、教科書に関連の記述も増えました。LGBTの当事者が出張授業を行うといった事例も紹介されています。

 ただ、そうした事例は教育現場のごく一部で行われているもののようです。そう思わせる調査が公表されました。

 「教育新聞」(4月15日付)に、「過去3年以内に性同一性障害や同性愛を授業に取り入れた教員は1割程度にとどまる」という記事が掲載されています。
 日高庸晴・宝塚大学教授が201910月から20年3月に行った調査で、全国の小中高、特別支援学校の教員2万1600人余りが回答しました。

 それによると、過去3年間に直接関わった児童生徒の中に同性愛の児童生徒がいたと答えた教員は4.3%、性別違和や性同一性障害の児童生徒がいたという教員は9.7%でした。
 そして、過去3年以内に同性愛や性同一性障害を授業で取り入れた教員10.7%です。しかも6割は1時間の授業の中の5〜10分程度で、1時間かけた教員は30数%でした。

 授業に取り入れなかった教員に理由を聞くと(複数回答)、「教える必要性を感じる機会がなかった」「教えたいと思うが教えにくい内容だから」が30%台でした。

 この結果について日高教授は、授業を実施した教員の割合は前回調査(201113年)とほとんど変わっておらず、「教員への研修は進んでいるが授業を実施するまでには至っていない」「ここ数年で世の中は大きく変わっているのに残念だ」と述べています。

 ちなみに2015年、文部科学省が性同一性障害や性的指向・性自認に関する児童生徒への指導について、教職員向けの手引きを発行しています。

 この中では、該当する児童生徒も性自認の強弱など状況は一人一人違うこと、悩みや不安を聞く姿勢を示しながらサポートしていくこと、そして他の児童生徒への配慮(例えばトイレの使用など)と均衡を取りながら支援することが重要だと述べられています。

 そして授業では、児童生徒の発達段階を踏まえて影響など慎重に考慮しながら、指導の目的や内容、取り扱い方法を適切に行うことが必要だとしています。

 当事者の子供たちに対してはもちろん、他の子供たちにも配慮する必要があるというわけです。その意味で、大半の教員が研修で知識を学んだとしても一斉授業に慎重になるのは当然と言えますし、当事者の子供たちをケアすることの方に意識を向けているのではないでしょうか。

 一部のメディアでは、LGBTを取り上げた授業の事例などを盛んに強調しますが、必ずしも学校現場、全ての教員の思いではなさそうです。