2026.06.24 12:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
米とイラン、戦争終結覚書に基づく協議を開始
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、6月15日から21日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
米とイラン、戦争終結に合意(6月15日)。G7首脳会議が仏のエビアンで開催(15日)。中国の消費がコロナ以来の減、国家統計局が発表(16日)。G7共同声明発表、対中・露の内容を含む(17日)。トランプ大統領とペゼシュキアン大統領が戦争終結に向かう覚書に署名(17日)。キューバが市場開放へ、国会が承認(18日)。米国とイランの代表団がスイスで覚書に基づく協議で「工程表」に合意(22日)、などです。
トランプ大統領とペゼシュキアン大統領が6月17日、戦争終結に向けた覚書に署名しました。
トランプ氏はフランス・ヴェルサイユ宮殿で署名、ペゼシュキアン氏は別途、デジタル署名の形を取ったのです。内容は「イスラマバード覚書(MOU)」と呼ばれ、14項目の停戦・包括和平の枠組みとなっています。
米国とイランは21日、すでにスイスで協議を開始しましたが、共に妥協できない国内事情を抱えていて、慎重に進めなければなりません。
英仏独伊4カ国の首脳は、船舶の安全確保と機雷除去活動などの役割を約束するとの声明を出し、高市首相は、この共同声明に日本も参加すると表明しました。
覚書は、14項目からなっており、基本的には、戦争停止→海峡再開→核問題の凍結→制裁解除→復興支援の工程を踏むこととなります。包括的ロードマップであり、60日以内の最終和平条約を目指します。
以下に、主な項目を挙げてみます。
*即時かつ恒久的な停戦
*主権尊重・内政不干渉
*60日以内に最終和平条約を締結(延長可)
*米国の海上封鎖解除
*イランによるホルムズ海峡の安全な通航確保
*イランの核兵器非追求・ウラン濃縮の希釈
*IAEA(国際原子力機関)による核監視強化
*米国による制裁解除・資産凍結解除
*3000億ドル規模のイラン復興基金
*ホルムズ海峡の即時再開
などです。
両国の協議は、スイスのビルゲンシュトゥックで行われました。米国の代表はバンス副大統領、ウィットコフ中東特使、トランプ氏の娘婿クシュナー氏らです。
バンス氏は、「歴史的な協議となる」と述べ、焦点は核計画の制限方法やレバノンでの停戦の履行であると語りました。
イランの代表はガリバフ国会議長、アラグチ外相そして最高安全保障委員会幹部も加わりました。協議の仲介国であるパキスタン、カタールそれぞれの首相も参加しています。
協議の結果、「交渉の工程表」に合意したとバンス副大統領が22日、スイスでの記者会見で発表しました。
その中で、イランがIAEAの査察官の受け入れに同意し、早ければ1週間以内にも実現するといいます。仲介国パキスタンとカタールも22日に同様の内容を共同声明として発表しました。
トランプ政権に近い「米国第一政策研究所」のフレッド・フライツ副所長が6月13日、産経のインタビューに答えています。
フライツ氏は、米国の対イラン政策について、同国の核保有阻止が主な目的であり、その目標を達成しつつあると評価し、核開発を再燃させないため、今後も軍事力を使いながら「問題を管理する」ことが現実的だと指摘しています。
トランプ氏は、高濃縮ウランについて「地中に埋めたまま人工衛星で監視すればいい」と述べたことがありますが、この考えが「正しい対応」だというのです。
米イランの協議は今後、軍事力を織り交ぜながら進めていくことになるでしょう。
勝ち負けではありません。大切なことは、イランの核兵器保有阻止に向かって前進することなのです。
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