共産主義の新しいカタチ 113

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

マルクスとフロイトとの融合を仲保
エーリッヒ・フロム(上)①

 ファシズム成立の心理状況を「自由の放棄」という視点で著した『自由からの逃走』で知られるエーリッヒ・フロムはフランクフルト学派の一人となりました。
 つまり、「マルクス主義とフロイト精神分析学との融合」という学派挙げての試みに主導的役割を担ったのであり、下部構造ではなく上部構造の分析をフロイト思想を用いて理論づけようとしたのです。

ルカーチの『歴史と階級意識』端緒
 フランクフルト学派について今一度おさらいをすると、ドイツのフランクフルト大学の社会研究所がその発祥です。ドイツ屈指の金融街を持ち最もユダヤ人と親和性の高いフランクフルトに設置された大学の研究機関として付置されたのが「社会研究所」 (Institut fur Sozial-forschung) で、「マルクス主義による新たな社会科学研究」を標榜し1923年にスタートします。

 その中核となったのが、ゲーラベルクで開催された「マルクス主義研究週間」で、ハンガリー共産党のジョルジ・ルカーチ、後にコミンテルンの大物スパイとなるリヒャルト・ゾルゲ、マルクス主義歴史家のカール・ウィットフォーゲル、日本共産党員でドイツ遊学し「福本イズム」で党を席巻した福本和夫、評議会共産主義者のカール・コルシュらが参画しました。

 このシンポジウムで「新しいマルクス主義」の可能性をもたらす思想として「バイブル」視されたのがルカーチの『歴史と階級意識』です。経済論中心のマルクス主義から文化・精神的側面での階級意識の変革による「革命への新たな地平」を拓くものでした。

 そして学派の構想を担ったのが、1930年に2代目の所長となったマックス・ホルクハイマー。彼が標榜したのは「学際的唯物論」と呼ばれるもので、「マルクス主義によるあらゆる学問の体系化」を目指すものでした。

 当時は、「ドイツ革命の失敗」と「ロシア革命の成功」によるボリシェヴィズムへの「限界」と「反省」を踏まえた中から、マルクス主義の模索が試みられた背景があり、そこでホルクハイマーが注目したのは、人間の深層心理に斬り込むフロイトの精神分析学とマルクスとの融合というテーマだったのです。

「思想新聞」2026年6月1日号より

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