共産主義の新しいカタチ 112

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

代議政治を骨抜きにする自治基本条例
松下理論と「市民自治」③

忙しい現代に巣くう「プロ市民」
 翻って、現代の私たちは、全てそのような「暇」を持っているとはいえません。「世帯主」として家計の屋台骨を支える成人男性にとっては特に、「代議制民主主義」こそ、有り難い制度になっているといえるでしょう。こうした意味で「市民代表」としてしばしば地方政治に参加する向きには、しばしば「プロ市民」と呼ばれる「職業活動家」の存在が出てきます。彼らは仮に選挙で勝てなくとも、「市民代表」として一定の影響力を政治に与えることができるのです。

 このために彼らはいくらでも市民団体や「○○評議会」、NPO法人などを「設立」しては「市民代表」として政治に関わろうとします。もちろん、中には、純粋な動機でそうした組織を造ったりもするのでしょうが、そうではない悪質な輩が存在することに留意すべきでしょう。

 かつてロシア社会民主党に所属したレーニンは、労働者などの評議会(協議会)=ソヴィエトを効果的に用いて、ツァーリ帝政末期に開設された国会(ドゥーマ)を機能停止させ、「全ての権力をソヴィエトに」置くことを唱えました。このように、暴力「革命」によって国会を機能不全に陥らせ、その一方で、評議会組織をそれに代替させる。これが、共産主義者の手法であることを、私たちは歴史的な教訓とすべきでしょう。

 このレーニンが手兵とした「ソヴィエト」の手法を、現代に甦らせたものこそ、松下の「市民自治」理論を地方自治体に埋め込んだ「自治基本条例」だといえます。下図のように、ソヴィエト(評議会)の役割をまさに「市民による協議会」が担う相似的なものであることを物語ります。そして実際、カコミに挙げた条例が、2001年に北海道ニセコ町の「まちの憲法」として作られ、それを松下自身が礼賛しています。

 さらに、松下圭一の弟子筋の菅直人元首相の選挙区を継いだ弟子の松下玲子前衆院議員が武蔵野市長時代の2021年に外国人投票権を認める住民投票条例案を市議会に提出し否決されていますが、こうした人々はまさに松下理論の申し子といっていいでしょう。

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参考】(『世界思想』20114月号より)
「自治基本条例」に胚胎する共産主義
 1960年代に飛鳥田一雄横浜市長(後の社会党委員長)は革新自治体を政府に対抗する「革命の砦」にすると豪語した。…首長を獲っても議会与党が少数であることが多く、行動が制約された。そこで「住民参加」の名のもとに「街づくり評議会」や「住民参加委員会」といった会議が組織された。ロシア革命では上図のように政府や議会とは別の権力機関(ソビエト)を作って革命に導こうとした。それを目指したが、70年代に革新自治体ブームは終わってしまった。首長が保革の誰であっても、また議会がどの党派に握られていてもソビエトが生き残れる仕組みを作ろうと考え…条例を作る。言ってみれば自治体にソビエト遺伝子を埋め込む。それが自治基本条例の狙いである。

 市民派(左翼)学者が全国の自治体に働きかけ01年に北海道のニセコ町で制定されて以降、全国に広がってきた。そのニセコ町長だった逢坂誠二氏(現衆院議員)は鳩山政権では地域主権担当の首相補佐官となり菅政権では地方自治体に直接関わる総務大臣政務官となっているのだ。自治基本条例を要約すると、次のようになる。

 ①地方分権や地方自治を口実に「地域の憲法」としての自治基本条例が不可欠だと吹聴②自治体に「自治基本条例策定検討委員会」を作らせる③検討委には住民参加の名の下に「公募市民」(プロ市民=左翼が公募で入り込む)を中心に据え、学識経験者(左翼学者)や自治体職員(自治労活動家)で構成させ、議員を意図的に加えない④町内会や青少年育成団体、市政協力員、地域防災組織、PTAなど既存の地域住民団体を排除し「公募市民」と左翼学者らで条例案作りをリード⑤条例を自治体の憲法と位置付け「最高法規」と称する⑥「協働」の美名で執行機関と議会を相対化(形骸化)⑦将来にわたり左翼が自治体を支配するため条例改廃まで審議させる「自治条例推進委員会」といった推進機関を設置⑧議会を骨抜きにする常設型の住民投票制を導入⑨NPO(実際は左翼集団)への予算投入などの支援を義務づける—というのが自治基本条例の骨子である。

 これが首長選挙や議会選挙で多数派になれない共産主義勢力が考えついた地方自治を乗っ取る仕組みである。

「思想新聞」2026年5月15日号より

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