2026.06.19 22:00

愛の知恵袋 211
自分を見つめ、個性を解放しよう
松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)
志望先に悩んでいた高校生
ある高校生の悩みを聞いた時のことです。「自分は将来、何をしたらいいのか分かりません」と言います。よく聞いてみると、小学生のころから、親からは「とにかく、勉強しなさい!」と言われ、友達と遊ぶことも少なく、学校と塾、自宅の往復の生活だったそうです。
そのお陰で良い進学校には入れたのですが、「自分が何の職業に向いているのか、わからない」という壁にぶつかっていました。
親は「有名大学に行けばよい」と言うけれど、「こんな職業に就きたい!」という明確な目標がないので、どこの大学の何学科を目指したらよいのか分かりません。
結局、彼は社会的な見聞が不足なうえ、書物やネットでいろいろな職業や生き方についての探求もしてこなかったので、自分が何に向いているのかが分からないのです。
今どき珍しい親御さんだなあと思いましたが、悩みは解決してあげなくてはなりません。
そこで、私は、「あなたの好きなことは何?」「苦手なのはどんなこと?」「何をしているときは楽しくて、何をしているときは苦痛に感じるの?」という最も基本的なことから聞いて、まず本人の関心事と、得手・不得手を確認するところから始め、次に、自分の才能と個性を発見できるようにリードしてあげました。
そうして、三度目の対話を終えて、ついに自分の目指したい職業が見つかりました。
そこまで行けばあとは簡単で、その職業に必要な知識や資格を得るために、どの学校のどの学科に行けばよいかは、すぐに分かりました。

第二の人生に戸惑う高齢者
同じような悩みは中高年にも見られることがあります。ある定年退職した男性と話した時、彼は“仕事の切れ目が縁の切れ目”で親密な友人もいなくなり、「寂しい」と言います。特にやりたいこともないので、毎日、テレビの番ばかりしていて、「昼ご飯は?」「夕ご飯は?」と言うので、奥さんからも嫌がられていました。
よく聞いてみると、入った会社が上下関係に厳しい縦型社会の職場だったので、自分の好き嫌いなど言っていられず、言いたいこともやりたいことも封印して、40数年間働いてきたそうです。当然、趣味のことなど考える余裕すらなかったといいます。
そこで私は、「若いころ、何か好きだったことはありませんか?」と聞きました。すると、「そうですねえ…歌や音楽が好きでした」というので、「それなら、その好きだったことを趣味としてもう一度やってみたらいかがですか?」と勧めてみました。
そうして、半年後に電話で話してみると、驚いたことに、彼は仲間も見つけてギターバンドをつくっていました。声は生き生きとして、「毎日が楽しい!」と言っていました。
上意下達と下情上達の調和が必要
「上意下達」が強調される軍隊調の縦型社会の組織では、集中力と目標貫徹力があるので、初期段階では発展・拡大します。しかし、末端の個人が意見を言えない組織はいつしか硬直化し、息苦しい状態になるのです。また、構成員の個性や才能が存分に発揮できない場合は、自主性や創造性、柔軟性が失われ、時代の変化に対応できなくなり、ある段階で成長が停止します。もしその時点で大改革ができないときは、消滅していきます。
企業で言えば経営者独善型の会社が一つの例です。最初はぐんぐん業績が伸びますが、ある時期から内部矛盾を抱えて低迷し衰退していきます。国家で言えば、一党独裁などの抑圧型国家がその典型例です。ある時期までは拡大しますが、内部不満が鬱積して崩壊します。
“下情上達”といわれるように、個人一人一人の意見や気持ちが上部に伝達尊重されて、各人が個性や才能を存分に発揮できる組織には自己変革力があり、発展性があるのです。
もし、リーダーがこの点を熟知して運営すれば、さらなる発展が継続できるでしょう。
今は、個性が存分に発揮されるべき時代
私たちの人生でも同じようなことが言えます。若い人はもちろんですが、高齢になったときも同じです。若いころに自分が好きだったこと、やりたかったことなどを思い出して、それを生かして第二の人生の仕事にする、あるいは、ボランティア活動にしたり、趣味の活動にしたりして、個性を存分に発揮して、生きがいと喜びを堪能しましょう。
SMAPのヒット曲“世界に一つだけの花”という歌にもあるように……。
「…♪そうさ僕らも世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい
♪小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン ♪」