愛の知恵袋 210
三まめで、友達を増やそう

(APTF『真の家庭』331号[2026年5月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

心の寂しさは、体の病気よりこたえる

 「♪一年生になったら、一年生になったら、ともだち百人できるかな…♪」

 桜が満開のこの時期、小学校の近くを歩いていたら、こんな歌声が聞こえてきました。

 そう、友達ができるということは、人間にとって、人生にとって、どれほど大切な事だろうか…としみじみ考えさせられます。
 以前、70歳以上の男女数人と懇談した時のことでした。「歳をとるごとに体力が低下して、先が不安だ」という健康の話題になりましたが、その中で、「体の健康も大事だが、もっと深刻なのは“心の空洞”のほうかもしれない」という話が出てきました。

 ある女性は、「子育てが終わった時も大きな虚脱感がありましたが、その子供たちがみんな結婚して自分一人になった今は、生きる張り合いもなくなりました」と言います。

 また、妻に先立たれた男性は、「定年退職して仕事仲間とも縁が切れ、毎日ぽつんと家で過ごすようになってから、底知れぬむなしさや寂しさを感じています」と述べていました。

 「本音で話しあえる友逹がいますか」と訊くと、「そこが悩みです」と言うのです。
 結局、気がふさいだ時、いつでも気軽に会って話せる友達がいれば、ほとんどは解消できそうですが、「そんな友逹が少ないというのが、一番の課題ですね…」という話になりました。

人は一人では生きていけない

 「人間は社会的動物である」と言われます。動物には、一匹で暮らす動物と群れを成して生きる動物がありますが、人間は必ず“家族”や“仲間”をつくって助け合い、支え合いながら生きていきます。

 「人は一人では生きていけない」という言葉には、非常に深い意味を感じます。

 私たちは誰でも“人間らしい生き方”を望んでいます。……目を覚ましたら家族がいて、張り合いをもって働き、大自然と触れ合い、多くの人と付き合い、愛し愛され喜怒哀楽を味わって、夜は安心してぐっすりと眠ることができる……そんな生活です。

 そういう観点から見ると、身近に親密な家族や友達がいないという生活は、“人間らしい生活”ができていないということになります。

 長い人生の中では、多くの人と出会うチャンスがあり、また、別れがあります。どれだけの人と関係を築いて深い付き合いができるかは、人によって大きな差があります。

 友達づくりが苦手な性格の人もいるし、さまざまな事情で一人暮らしになる人もいます。
 そんな時にはどうしたらいいのか…。やはり、じっと待っているだけでは解決しません。
 一人でも友達を増やすために、行動を起こす必要があります。

“三まめ”の実践で、良き友をつくろう

 ここで言う「三まめ」とは、おいしい甘味の“みつまめ(蜜豆)”のことではありません。“三まめ”というのは、“手まめ”“足まめ”“口まめ”のことです。

 親戚の人、近所の人、仕事の同僚、昔の同級生、趣味やサークルの仲間など、周りを見渡せば人はたくさんいますが、自分から進んで働きかけなければ、友達にはなれません。

 友達を増やし、付き合いを深める秘訣は、「三まめを実践すること」です。

①手まめに文を書く…はがきや手紙を出す、メールを送る、お祝いカードを贈る。

②足まめに訪問する…会ってお茶する、一緒に何かをする、時には家に招待する。

③口まめに話をする…挨拶をする、声をかける、電話をする、話を聞いてあげる。

 そして、“三まめ”にもう一つ付け加えたいのが、“物まめ”です。

 近所の人ならば、ちょっとした食べ物を「おすそわけですが…」と言って差し上げると、それがきっかけで、親しい付き合いになることがあります。

 また、長い間、疎遠になっている人でも、思い切って電話をしてみたり、はがきを送ってあげたりすると、そこから縁が復活して、また、交流が始まることもあります。

 試しに、一日に一人ずつでも、誰かに電話をしてみるか、メールを送るか、はがきを出してみましょう。一カ月もたてば、思わぬ嬉しいことが起こってくるはずです。

 私もそうしたおかげで、いくつものライングループができて楽しく交流しています。
 「筆不精は祟る」という言葉がありますが、そんなちょっとした努力をする人と、しない人とでは、晩年の人生の豊かさに雲泥の差が生じてきます。

 「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という上杉鷹山の名言は、友達づくりにも当てはまる言葉だと思います。

 私達の“幸せ”は、待っていれば来るものではなく、創り出していくものなのです。

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