2026.01.07 12:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
米司法当局がベネズエラ・マドゥロ大統領を逮捕・拘束
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、2025年12月29日から2026年1月4日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
北朝鮮が長距離巡航ミサイルを黄海へ2発発射(12月29日)。日本共産党・不破哲三元委員が死去(30日)。中国軍、台湾包囲の軍事演習を実施(30日)。日米首脳、電話会談(1月2日)。米、ベネズエラ・マドゥロ氏を逮捕、拘束(3日)。北朝鮮が弾道ミサイル数発日本海へ(4日)、などです。
トランプ大統領は1月3日、反米左派政権が率いるベネズエラに対して「大規模な攻撃を成功裏に実施した」と自身のSNSで発表。米司法当局が軍の支援を受けてマドゥロ大統領を逮捕・拘束したのです。
内外から、国際法の重大な違反、結局石油利権狙いだとする批判が相次いでいますが、それは世界の現実を直視しない、「的外れ」な議論です。
トランプ氏は同日、フロリダ州で記者会見し、以下の点を明らかにしました。
*ベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を拘束。米国で裁判にかける。
*軍事作戦は圧倒的な陸・海・空の軍事力による成果である。
*適切に政権移行するまでは米国がベネズエラを「運営」する。
*石油権益は米企業が獲得。大量に石油を輸出する。
*米軍地上部隊のベネズエラ覇権を否定せず、
などです。
逮捕・拘束の名目は、「麻薬密輸対策」です。トランプ政権は、マドゥロ氏を、不正選挙を理由に合法的な大統領とは認めず、反体制派を支持していました。
そして麻薬密輸などの罪でマドゥロ氏を起訴し、5000万ドル(約78億円)の懸賞金もかけていたのです。
米国内外から批判の声が上がっています。重大な国際法違反であり、結局は原油利権の獲得が狙いなのだ、というものです。
国連憲章第2条4項は、加盟国に「武力による威嚇または武力行使」を禁止するとあり、自衛権の行使に関しては、切迫した危険を回避する「必要性」と過度な攻撃を自重する「均衡性」の要件が満たされる必要があるとしています。
ロシア外務省は3日、「武力による侵略行為で、深刻な懸念を引き起こす」との非難声明を発表。中国外務省も同日、「米国の覇権的行為は国際法に著しく違反し、ベネズエラの主権を侵害しており、断固と反対する」と非難しました。
しかしルビオ国務長官は、このたびの攻撃は「逮捕状の執行」を支援するためのもので、ベネズエラ国内でのこれ以上の行動は想定されていない、と述べました。米軍が主体の軍事行動ではないという意味です。ボンディ米司法長官は自身のSNSで、マドゥロ氏は「米国内で、米国の司法によって」裁かれると投稿しています。
今回の米軍の行動は、2020年に米司法当局が麻薬テロの首謀者として起訴したマドゥロ氏を逮捕しようとするDEA(麻薬取締局)とFBI(連邦捜査局)を支援するものだったのです。米国がベネズエラに軍事攻撃を仕掛けて大統領の身柄を拘束したといものではないというのです。国際法違反、国連憲章第2条4項に基づく批判は「的外れ」なのです。
国際法順守の主張は尊重すべきです。しかし他国に順守を訴えながら、自らはそれを破って権益を拡大している国々があります。特にロシアや中国です。
国際法順守の声は、それを無視して覇権行動を続ける勢力に利用されているといえるでしょう。
現実を直視しながらどのようにして国益を守っていくのか。
「新たな枢軸」であるロシア、中国、イラン、北朝鮮に対抗できるのは、米国しか存在しません。
今回のベネズエラ攻撃は、昨年(2025年)12月初旬にトランプ政権が公表した「国家安全保障戦略」に沿うものです。安保戦略には、中国に関わる重要な柱が二つ明記されています。
それは、①台湾の重要性、そして②米国が南北アメリカ大陸を軸に西半球を守る、というものです。
①については、台湾は「部分的には半導体生産で優勢であるが故に」重要だが、「主として台湾が第2列島線へのアクセスを提供し、北東アジアと東南アジアの分岐点になっているからだ」としています。それは許さないという意味です。
そして②は、南北アメリカ大陸から他の国の勢力を排除するという意味であり、この「他の国」の代表格が中国であるのは間違いありません。安保戦略には中国排除の気迫が満ちているのです。
高市首相は4日、自身のXに、ベネズエラにおける民主主義の回復と情勢の民主化にむけた外交努力を進めるとともに、日本は自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重していくとの内容を投稿し、米国批判は避けました。
米国の戦略目標は「米中衝突」を超えることにあります。その焦点となるのは東アジア・台湾であり、日本、朝鮮半島です。
日韓米台は結束し、その時に備えなければなりませんが、課題はあまりにも多いのです。
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