世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

トランプ政権、衝撃の「国家安全保障戦略」を公表

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、121日から7日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 韓国戒厳令から1年、与党が司法掌握(123日)。欧州連合(EU)、レアアース備蓄制度新設、日本をモデルに(3日)。トランプ政権、「国家安全保障戦略」を公表(4日)。トランプ大統領、台湾保証法の改正法案に署名、成立(4日)。中仏首脳会談、北京・人民大会堂で(4日)。防衛省 中国海軍の戦闘機が自衛隊機にレーダー照射公表(6日)、などです。

 トランプ政権は124日、外交・軍事政策の指針となる「国家安全保障戦略(NSS)」を公表しました。NSSの公表は、政権ごとに必要に応じて策定され公表されるものです。

 このたび公表されたNSSは、インド太平洋地域を「主要な経済的・地政学的戦場」と位置付けていますが、その真意は、米国の戦略目標を対中国に置いていることを示しています。

 覇権主義的な言動を強める中国を念頭に、NSSは、南西諸島や台湾、フィリピンを結ぶ「第一列島線」の防衛力強化に向け、日本と韓国に「防衛費増額を強く求めなければならない」との考えを示しました。同時に台湾やオーストラリアにも増額を求めています。

 台湾については、中国が「武力統一」を否定していないことを踏まえて、「台湾の占領を阻止するために米国と同盟国の能力を強化する」「台湾海峡の一方的な現状変更を支持しない」とも明記しました。

 北朝鮮に対する言及はありませんでした。さらに中国を軍事的脅威と明確に名指ししませんでした。それは今後、金正恩(キム・ジョンウン)総書記、習近平主席との首脳会談を重視する中で、中朝への過度な刺激を回避したものとみられます。

 ロシアによるウクライナ侵略については、ウクライナでの迅速な敵対行為の停止交渉が「米国の核心的利益だ」と表現。この「戦争」が終わらなければ、次(中国との衝突を克服する)の段階に進めないのです。

 このたびの特徴の一つは、NSSは欧州に自立を求め、自己防衛により「敵対勢力による支配」を回避する必要性を強調。北大西洋条約機構(NATO)は「永続的に拡大する同盟体であるという認識を終わらせるべき」であると記しました。

 これはウクライナとの和平実現に向けて、ロシアの懸念に配慮したものであり、「ロシアとの戦略的安定性の再構築」し、次の闘い(中国との衝突)に備えるのです。

 さらに特筆すべきは、このたびのNSSは、欧州が「文明の抹消」に直面しているとし、同盟国としての資質の立て直しを促す方針を明示したことです。

 EUの官僚主義が国家主権や自由を損なっていると指摘しており、文化マルクス主義によるグローバリズムやキリスト教的価値観の崩壊を警告していると見るべきです。それはトランプ氏の米国での闘いを見れば理解できます。

 移民流入や少子化を指摘し、EU路線に抵抗する各国の右派勢力を支援する立場を掲げました。

 これらの主張は、欧州側に衝撃を与えています。
 ドイツのワーデフール外相は5日の記者会見で「外部からの助言は要らない」と不快感をあらわにしました。

 米国の大統領が、「米国はもはや世界の警察官ではない」と発言したのはオバマ元大統領でした。2013年、14年にかけてのことです。それはシリヤ内戦やロシアのクリミヤ半島占領を巡ってのことでした。

 10年を経て、政権は異なりますが、いよいよそれが現実のものとなりつつあるといえるでしょう。
 日本の覚悟が求められます。



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