スマホで立ち読み Vol.38
『“人さらい”からの脱出』23

小出浩久・著

(光言社・刊『“人さらい”からの脱出 違法監禁に二年間耐え抜いた医師の証言』〈2023年11月20日改訂版第2刷発行〉より)

 スマホで立ち読み第38弾、『“人さらい”からの脱出』を毎週水曜日(予定)にお届けします。
 2年間にわたる拉致監禁後、「反統一教会グループ」の一員として活動した経験のある筆者。そんな筆者が明らかにする、「脱会説得」の恐ろしい真実とは。

---

1 15カ月間の監禁生活

四、新潟での説得、逃げ回る生活の始まり⑧

 マンションの中で多くの話を聞いたが、いくつかのことは心に残った。

 M氏はいつも「あなたのやってきたことは犯罪だ。犯罪行為なんだよ」と迫ってきた。別に彼は警察官でも、裁判官でもなかったし、私のそれまでの考えも行動も、生活についても彼はほとんど何も知らなかった。それを何の迷いもなく、断言するのである。「統一教会=悪」という、まさに“思い込み”の世界であった。

 多くの監禁された状態にある統一教会員は、彼のこの言い方にショックを受けるらしい。何らかの情念に裏付けられた“信念”や“思い込み”とは、確かに人の心を動かす恐ろしい力をもっていた。

 T氏やM氏以外にも、数多くの元信者とここで論戦をした。その一人一人が、今でも懐かしく思い起こされる。

 彼らは“現”であろうが、“元”であろうが、“反”であろうが、統一教会を離れては生きることのできない一人一人であった。統一教会という宗教によって、神との出会いという心の奥深いところの〈恵み〉をもったからであろう。

 何とか彼らが自らの心の中で味わった恵みがかけがえのない貴重なものと感じてもらえるようにしていきたい。日本が形式的な平等や自由以上に、「内心の自由」を尊重する国になるようにしていきたい。

---

 次回は、「柏崎市のビジネスホテルへ①」をお届けします。



「一気に読んでしまいたい!」というあなたへ

『“人さらい”からの脱出』を書籍でご覧になりたいかたは、コチラから

お気に入り