ザ★Q&A【社会編】4

 今回は、「社会編」の第4回をお届けします。
 回答は「世界はどこに向かうのか」でおなじみの国際平和研究所所長・渡邊芳雄先生に監修していただいています。

Q. スパイ防止法ってどんな法律? どうして必要なの?

A. スパイ防止法とは、スパイ行為を取り締まる法律です。防衛秘密など「日本の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要であると認められるもの」を保護して日本の平和と安全を守るために必要なものです。

 「スパイ防止法」は、スパイ行為そのものを摘発する法律です。

 201412月に施行された「特定秘密保護法」(特定秘密の保護に関する法律)がスパイ防止法ではないのかという声もありますが、この二つは別物です。

 特定秘密保護法は「特定秘密」漏えいの阻止と保護を大前提とした法律であり、スパイ防止法はスパイ行為自体を取り締まるための法律です。

 スパイ行為とは、外国に通報することを目的として、または不当な方法で「防衛秘密」などを探知、収集、窃取して、それを外国に通報することなどをいいます。これらも処罰の対象にしなければ、スパイ行為は防げません。

 特定秘密とは、わが国の安全に影響を及ぼすか否かを基準に、細かい規定のもとで極めて厳格に限られた情報のことをいいます。

 国家機密や防衛機密などを守り他国の諜報活動を防ぐのは、自衛権(国際法で認められた独立国の固有の権利)の行使として当然の行為です。世界ではどの国もスパイ行為を取り締まる法整備を行っていて、国家の安全保障を脅かすスパイには厳罰で臨んでいます。

 ところが、わが国にはスパイ行為を取り締まる法律がありません。スパイ行為そのもので逮捕できないのは、世界で日本だけなのです。

 スパイ防止法ができたらマスコミの取材活動が妨げられる、戦前の暗黒社会に逆戻りするという意見があります。
 しかし同法は法律全体の解釈適用を規定し、表現の自由と基本的人権を守り、出版・報道機関の自由な活動を保障しているため、マスコミの正当な取材活動は一切妨げられません。

 また、欧米などの民主主義国はスパイ防止法があっても暗黒社会にはなっていませんし、戦前と違い現行法は強制処分法定主義、令状主義の原則のもと捜査段階での身柄拘束や捜査押収活動が厳しく規制されています。従って、スパイ防止法ができても暗黒社会になることもあり得ません。

 日本の平和と安全を守るためには、日本の情報、「防衛秘密」を守らなければいけません。そのためにも、スパイ行為を防止し取り締まる「スパイ防止法」の制定が必要なのです。

(参考:「スパイ防止法」制定促進サイト)

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 次回は、7月25日の配信を予定しております。


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