ほぼ5分で読める勝共理論 85
安倍政権の功績②
価値観外交を拡大した安倍政権

編集部編

 7月8日、安倍晋三元首相の命日(没年67歳)を迎えました。
 安倍元首相への追悼の思いを込めて、6回に分けて「安倍政権の功績」について考えてまいります。

価値観外交は中国包囲網
 前回説明したように、安倍政権の功績は大きく分けて四つあると筆者は考えています。

 その一つ目は、安倍総理が日本で初めて価値観外交を展開したことです。このことは勝共の観点から見ても実に素晴らしいものです。
 今回はこの価値観外交について、もう少し詳しく説明したいと思います。

 前回紹介したように、価値観外交というのは、普遍的価値、つまり「自由」「民主主義」「基本的人権」「法の支配」「市場経済」を重視して、これらの価値観を共有する国々と連携していこうという方針のことです。

 これらの価値観は中国にはないものです。
 中国には政権を批判する言論の自由はありません。政治家は選挙で選びませんから民主主義もありません。共産党に逆らうと容赦なく弾圧されますから基本的人権もありません。

 独裁者が逮捕されることは絶対にありませんから法の支配もありません。経済にも政治が堂々と関与するので市場経済もありません。
 ですから簡単にいうと、価値観外交というのは中国包囲網のことなのです。

 中国は、尖閣諸島は中国のものだと言ったり、南シナ海で覇権を広げたりと、かなり強硬な姿勢を取り始めていました。
 しかし中国の脅威ばかり叫べば、それこそ中国と熾烈(しれつ)な敵対関係になってしまいます。

 そうなると、中国と深い関係にある日本としてはかなりのダメージを受けてしまいます。
 日本国内においても、「中国は嫌いだ」「中国人は皆大嫌いだ」というような偏った価値観が広がりかねません。

問題なのは共産党政権
 中国政府はこれまで、チベットやウイグルを侵略して苛酷(かこく)な弾圧をしてきました。
 今なお覇権を広げていますが、だからといって中国人全員が悪人であるとか、中国の歴史そのものが全部駄目だと言っているわけではないのです。

 何が問題かというと、1949年以降、中国を支配する共産党政権が問題なのです。中国国民も共産党政権に支配されているのです。

 例えば、日本が共産主義の国になってしまったと考えてみてください。
 仮にそうなっても、その日から日本人が全員悪人になるわけではありません。ただ、共産主義国家になれば共産党を批判することは許されません。
 今でも、共産党は敵視する安倍氏に対してはうそをついてでも何でも批判し放題です。

 共産党が政権を握れば、どれだけ敵対する人たちを攻撃するか分かりません。ですから仮に日本が共産主義体制になれば、その政権の言うことを聞くしかないのです。

 そして共産主義は資本主義を否定する考え方ですから、他の国々をも支配しようとするでしょう。
 結局は国が共産主義になれば、国内でも国外でも敵対する者に対しては徹底的に攻撃し始めることでしょう。

 それ故、安倍総理は中国という国を攻撃するのではなく、普遍的な価値観を共有する国と連携を深めると言ったのです。

 その国が貧しい国であっても構いません。日本から見て地球の裏側にあっても構いません。日本とこれまで貿易関係がなかった国でも構わないのです。
 普遍的な価値を共有して広げるためであれば、日本は積極的に連携していきますと言ったのです。

 これが価値観外交です。

 この外交政策は、2006年の第1次安倍政権の時に始まりました。ところが安倍総理が体調を崩して辞めた後の福田康夫政権で、外交政策は大きく変化しました。

 同じ自民党の政権でも外交政策は人によって違います。福田政権は中国と韓国を中心に外交を行いました。
 日本の貿易相手国はこの二つの国が中心なので、別に不自然なことではありません。ですが、これによって安倍総理が始めた価値観外交はいったん後退しました。
 その後、民主党政権が誕生すると、日本と中国との距離はさらに近くなりました。

 2012年に第2次安倍政権が誕生すると、価値観外交がまた始まりました。
 こうして約8年かけて価値観外交は日本の外交政策の柱になったのです。

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