ほぼ5分で読める勝共理論 84
安倍政権の功績①
安倍政権78カ月の功績とは?

編集部編

 7月8日、安倍晋三元首相の命日(没年67歳)を迎えます。
 安倍元首相への追悼の思いを込めて、6回に分けて「安倍政権の功績」について考えてまいります。

歴代最長を記録した安倍内閣
 安倍晋三氏は、日本の歴史上で最も長い間、総理大臣を務めたかたです。
 連続の在職日数としても、いったん辞めて間を置いてまた総理大臣になった人としての合計においても、日本の歴史で一番長い在籍日数です。

 ちなみに、通算の在籍日数、つまりいったん辞めてからまた総理大臣になった日数を含めると3188日でした。
 連続日数でいうと、第2位は佐藤栄作氏です。

 実は、佐藤栄作氏は安倍氏の祖父である岸信介(のぶすけ)氏の弟です。つまり安倍氏の大叔父です。
 岸信介氏は総理大臣の在任日数でいうと歴代9位でした。ですから安倍氏は、歴代9位の自分の祖父、そして歴代2位の大叔父を超えて、歴代最長政権を築いたということになります。

 これを裏返して言うと、安倍氏がそれだけ選挙に強かった、つまり国民に人気があったということです。
 このことは、朝日新聞系列が20229月初めに行った世論調査で、安倍政権の支持率が71%だったことではっきりしました。

 朝日新聞はあれだけ安倍政権のことをたたき続けたのですが、最終的には安倍政権に対する国民の総括は考えられないほど高かったのです。それだけ朝日新聞の安倍政権批判のメッセージは国民には伝わっていなかったということです。

特筆すべき安倍政権の「価値観外交」
 では、安倍政権の78カ月の功績とはいったいなんだったのでしょうか。
 今回は、この点について説明したいと思います。

 結論から言うと、安倍政権の功績は大きく四つあると筆者は考えています。

 一つ目は、価値観外交を展開したこと。そして二つ目は日本のプレゼンスを高めたこと、三つ目は安全保障政策を強化したこと、そして最後にアベノミクスで日本の経済を立て直したことです。

 この中で、「勝共」の観点で最も評価できるのは、なんといっても1番目の価値観外交を展開したことです。

 価値観外交というのは、普遍的価値、つまり「自由」「民主主義」「基本的人権」「法の支配」「市場経済」を重視して、これらの価値観を共有する国々と連携していこうという方針のことです。

 これは、日本では安倍政権で初めて外交政策として掲げられました。そしてこれが勝共の観点から見ると、実に素晴らしいものだったのです。

 価値観外交について説明しましたが、「ちょっと難しい」「よく分からなかった」と思うかたも多いかもしれません。
 実は価値観外交というのは、政策としてはかなり高度で難しいものなのです。

 政治家としては、できれば多くの国民が支持してくれるような政策をしたいと考えるのが普通です。その方が人気も上がりますし、票が得られるからです。
 だから誰にとっても分かりやすくて、できるだけ多くの人が「それだったら得をする」と思うような政策を掲げたいと思うのが普通なのです。

 このことを外交で例を挙げてみたいと思います。

 例えば、「中国は人口が多いです。だから中国にモノが売れるようにします。そうすると皆さんが作ったモノがたくさん売れます。もうかりますよ。そのために日本としては中国とトラブルが起きないようにします。その方がビジネスにはいいですよね」と言ったりするわけです。

 ところが安倍氏はそうは言いませんでした。
 詳しくは次回説明しますが、安倍氏は「価値観を中心として外交をする、損得ではなくて、見えない価値観を中心とするのだ」と言ったのです。

 一般的に日本人は価値観というものが苦手です。
 中国のような独裁体制のことをよく知らなくて、「安倍さんは独裁者だ」とか「権力を私物化している」と平気で言ったりすることもあります。

 国会で法律が多数決で可決されて作られても、そのことに対して「民主主義を破壊する」などということをマスコミは堂々と言ったりするのです。
 それだけ日本人は価値観が苦手なのだということです。

 当時においても現在においても、日本には価値観外交が必要です。もちろんアジアや世界でもそうです。しかし当時の世界で誰もそのようなことを言いませんでした。どの国の首脳も言わなかったのです。
 安倍氏が、世界に先駆けて価値観外交をやるのだと言ったのです。このことが、勝共の観点から見て、実に画期的なことだったのです。

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