世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

日中友好議連の中国・北京訪問に、強い違和感

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、421日から27日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 マスク氏、米政権での職務縮小を公表(422日)。文在寅(ムン・ジェイン)韓国元大統領、収賄罪で在宅起訴(24日)。トランプ大統領、ウクライナにクリミアを戻すのは困難との認識を示す(24日)。米議員ら北朝鮮の拉致問題巡り大統領に書簡か(25日)。トランプ氏、バチカンでゼレンスキー氏と停戦を巡る直接会談(26日)。日本の超党派・日中友好議連が中国訪問(27日)。北朝鮮がロシア支援のため戦闘参加と初公表(28日)、などです。

 超党派の日中友好議員連盟(会長、森山裕自民党幹事長)が427日、中国・北京を訪問。3日間の日程で、中国共産党指導部との会談が行われます。

 内容は、福島原発処理水の海洋放出に伴う日本産水産物の輸入規制撤廃といった懸案を取り上げるとみられるということですが、違和感でいっぱいです。

 議連としての訪中は昨年8月以来で、今年1月に森山氏が自民の二階俊博幹事長(当時)の後任として議連会長に就任して初めての訪問となるということです。
 訪問団には共産党からの志位和夫議長が入っています。福島原発の処理水放出問題では中国共産党とほぼ同じ主張をしてきたのが共産党であり、今も変わりません。

 一体何のための訪中なのでしょうか。
 日本側からの要請なのか、中国からの要請なのか、これまでの報道でははっきりしません。
 違和感を禁じ得ないのは、日米関税交渉の日本側代表として赤沢亮正経済再生相が430日、再渡米する時期と重なっているからです。

 赤沢氏が416日に訪米した時、日本が求めている自動車などの関税からの除外について、日本だけの例外は認められないとの立場を伝えていたことが判明しています。
 米国の関税戦争の本丸は中国であることを考えれば、第2回交渉直前の日中友好議連の訪中は米国の怒りを買う要因となりかねません。

 中国側は、トランプ米政権との「関税戦争」が激化する中、米国の圧力に対抗するため日本など周辺国との関係強化に力を入れています。今はそれに乗ってはいけないのです。

 公明党の動きが異常です。斉藤鉄夫代表が422日から24日に訪中し、対台湾工作の責任者・王滬寧人民政治協商会議主席と会談しました。その時、石破首相からの親書を手渡したといいます。さらに公明の山口那津男元代表は428日から30日の日程で訪中予定になっているのです。

 石破政権の判断はおかしいです。中国への接近で米国をけん制しようとしているでしょうか。それは全く無意味であり、逆効果です。

 NHKの番組で46日、トランプ政権と連携するシンクタンク代表のオレン・キャス氏のインタビューが報じられました。
 キャス氏はこう明言しています。

 「日本は、アメリカか中国か、どちらかを選ぶ必要が今後出てきます。トヨタがアメリカ寄り、ホンダが中国寄りのようなことはあり得ません。国家レベルの政策だからです。今、多くの国が中国から経済的利益を得る一方、アメリカには経済的なコストと安全保障を負担させて、二つの国から都合よく利益を得ています。もし中国と緊密に協力することが自分たちの利益になると考えるなら、経済と安全保障で強固な同盟関係を築くことはできません」

 このままでは、石破政権が日米同盟を傷つけることになるかもしれません。



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