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映画で学ぶ統一原理 13

(この記事は、『世界家庭』2019年3月号に掲載されたものです)

ナビゲーター:渡邊一喜

『フォレスト・ガンプ』
1994年。142
67回アカデミー賞6部門受賞

頑固なほどに愚直で純粋な主人公を通して、ノアの信仰について考える

後編 ノア家庭

 聖書をテーマにした、良い映画はたくさんあるが、今回は少しひねって、『フォレスト・ガンプ』からノアの信仰について考えてみたい。

 「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」

 これは、映画『フォレスト・ガンプ』のキャッチコピーだ。主人公フォレストの母親が、息子を励ますためによく語った言葉である。1994年公開の『フォレスト・ガンプ』は、ロバート・ゼメキスが監督、トム・ハンクスが主演を務め、その年のアカデミー作品賞を含む6部門を受賞した。

 青年のフォレストが停留所でバスを待ちながら、隣の男性に自身の過去を語るシーンから始まる。
 フォレストは幼少期から母子家庭で育ち、知的・身体的障害も抱えていた。しかし彼の母親は、人生の素晴らしさを彼に伝え続けた。その一つが、先に紹介した言葉だ。
 彼は母親のこの言葉を大切にしながら、人生に振りかかる困難を克服していく。そのような中で、彼は信じるに足る友人、上官、恋人と出会う。そして、彼らと彼らの言葉を信じ、自らの人生を切り開いていくのだ。

 私は、頑固なほどに愚直で純粋なフォレストを見ていると、どうしてもノアを思い出してしまう。母親や上官の言葉を信じ続けたフォレスト。「箱舟を造れ」という神からのたった一度のみ言を120年守り、実現させたノア。この2人の生き方を見ると、「信じる」ということについて考えさせられる。

 私たちはふだん、何かを信じようとするときに目先の利益を中心に考えがちではないだろうか。無意識のうちに、自身の利益になりそうなものを信用し、そうでないものは信じるに値しないとみなす。そして信じた結果、不利益を被れば不満を漏らすだろう。

 しかし、彼らの「信じる」という行為は、より内発的であり、自己の尊厳を懸けた行為である。それは、自身の選択と責任の中で信じ、結果を受け入れることである。本来「信仰」とは、このようなものではないだろうか。
 そしてその結果、フォレストは人生の喜びを手にし、ノアは神の摂理の主流に立っていったのである。

 「聖人とは少年の時に考えたことを生涯貫き通した人である」という真のお父様のみ言を思い出す。この映画は、「信じる」ということを考え直すきっかけを与えてくれるはずである。

(『世界家庭』2019年3月号より)

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