コラム・週刊Blessed Life 135
菅義偉政権の誕生と日本の行方

新海 一朗(コラムニスト)

 安倍政権から菅政権へと、日本の政治はここに来て思わぬ展開を見せ、世界も固唾(かたず)をのんで見守る状況となりました。

 国際政治における安倍晋三前首相の存在感は大きく、日本が再び浮上し、これまで世界に確固たる役割を果たす発信力を示してきた事実は、誰もが認めるところでしょう。外交における安倍首相の国際的な影響力は、実に、絶大でした。

 安倍政権を継承するというスタンスで登場した菅政権は、その言葉どおりであれば、基本路線は大きく変わることはないということになります。
 確かにそのとおりかもしれませんが、やはり、全く同じというわけにはいきません。人間が変われば政治も変わります。

 内政においては、菅首相も言っているとおり、コロナ対策が大きなテーマであり、同時に経済対策(景気の回復)が喫緊の課題であることは否めません。

 この二つをどちらか優先的に推進するというのではなく、両方の歯車を同時に回していこうという政策に立つというわけです。

 それと、オリンピックはどういう形であれ、2021年には行うことをIOC(国際オリンピック委員会)が正式に宣言しましたので、来年のオリンピック開催も菅政権の大きな仕事になります。

 菅首相は実務の人であり、仕事をてきぱきとこなす、いわば「仕事人」ですから、内政面は卒なくこなしていくと思われます。

 菅首相にとって、大きな問題となるのは、外交面です。
 安倍首相のように「華やかさ」に欠ける点では、国際外交の舞台において各国首脳がどういう印象を持つかといった面で、損をするようなことがないわけではないと言えますが、堅実で大きく間違うことのない外交を行えば、信頼されるようになり、大きな問題は起きないと言えるでしょう。

 大きな問題が起きるか起きないかというポイントは、対米外交と対中外交の軸足の置き方にあります。今日の世界的な状況においては、対中外交を重要視するという選択肢は、ほとんどなくなったということです。この認識の上に立つ外交を展開できるかどうかです。

 アメリカは言うまでもなく、アメリカよりも親中的であったヨーロッパがすっかり中国と距離を取る姿勢に変わり、途上国で中国の支援を受けてきた国々においてすら、中国の野望や本質に気付き始めている状態です。世界は中国に対して、非常に用心深くなってきており、単純な中国礼賛は姿を消しつつあります。

 こういう状況の中で、習近平総書記の訪日が行われ、世界の国々が中国との経済関係で手を引いていく中、日本がむしろその間隙を縫って経済活動を強化するといった政策が取られるならば、まずアメリカが菅首相の外交センスを疑うことは必至であり、日米同盟に亀裂が生じる可能性があります。この点で、日本は間違いを犯してはなりません。

 ただ、そういう可能性はかなり低いのではないかと思いますが、油断は大敵です。なぜなら、中国は対米関係で生きるか死ぬかというところまで追い詰められており、その分、生き残りを懸けて、日本に接近してくる可能性が大いに考えられるからです。

 中国のあの手この手の日本への接近工作に乗ったら、菅政権は致命的なことになります。この外交的課題において、日本は安倍首相が見せた日米同盟の強固な関係をさらに持続させる必要があります。
 米国と一緒に日本は、中国共産党を終わらせるという決断が求められているのです。