信仰と「哲学」55
関係性の哲学~統一の原理と現実の人間

神保 房雄

 「信仰と『哲学』」は、神保房雄という一人の男性が信仰を通じて「悩みの哲学」から「希望の哲学」へとたどる、人生の道のりを証しするお話です。同連載は、隔週、月曜日配信予定です。

 原理講論(講論)には、根源的な「統一力」である万有原力がどのように全宇宙に関わり、統一された世界を構成していくのかが、以下のように記されています。

 「あらゆる存在をつくっている主体と対象とが、万有原力により、相対基準を造成して、良く授け受ければ、ここにおいて、その存在のためのすべての力、すなわち、生存と繁殖と作用などのための力を発生するのである。このような過程を通して、力を発生せしめる作用のことを授受作用という」(「原理講論」50頁)

 神は根源的な「統一体」であり、被造物もまた「統一体」です。そのための原理が「統一原理」です。

 次のように講論にあります。

 「神はそれ自体の内に永存する二性性相をもっておられるので、これらが万有原力により相対基準を造成して、永遠の授受作用をするようになるのである。この授受作用の力により、その二性性相は永遠の相対基台(相対し続けることができる基礎、基盤、土台)を造成し、神の永遠なる存在基台をつくることによって、神は永存し、また、被造世界を創造なさるためのすべての力を発揮するようになるのである」(同51頁)

 「被造物においても、それ自体をつくっている二性性相が、万有原力により相対基準を造成して、授受作用をするようになる。また、この授受作用の力により、その二性は相対基台を造成し、その個性体の存在基台つくって初めて、その個性体は神の対象として立つことができるし、また、自らが存在するためのすべての力をも発揮できるようになるのである」(同51頁)

 統一の原理は、「それ自体内にある二性が、万有原力により相対基準を造成して授受作用をなし、相対基台さらに存在基台を造成する」ということになります。

 重要なことは、万有原力と授受作用の力との関係です。

 講論には「万有原力と授受作用の力とは、各々原因的なものと結果的なもの、内的なものと外的なもの、主体的なものと対象的なものという、相対的な関係をもっている。したがって、万有原力は縦的な力であり、授受作用の力は横的な力であるともいえるのである」(同50~51頁)と記されています。そして、この授受作用の力によって主体、対象の二性が相対基台を造成し、存在基台となるというのです。

 私たちは「授受作用」による関係性に注目し、人間がつくり出す関係性において、それを愛、慈悲、恕(相手の立場に立つこと)の作用であると表現しています。
 問題は、万有原力が作用し得る存在に人間(自分自身)がなっているのか、否かということです。神と共鳴、共振する、神の宮となっているのかどうかということなのです。